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第179話 一難去って
リョウタは夕食中に目の前に並び始めたレンとサトルに驚いて、スプーンを咥えたまま固まった。
「せーの」
「「ご心配をおかけしました。」」
深々と頭を下げられて、意味を理解すると、リョウタはスプーンをお皿に置いてニカッと笑った。
「仲直りっ!」
リョウタは嬉しくて席を立ち、2人をハグした。きょとんとする弘樹やユウヒを無視して、良かった良かったと騒ぐ。
ありがとな、と笑う2人は前みたいに隣にいるのが当たり前な雰囲気になっていた。
いつまでも騒いでいると、風呂上がりのサキがリョウタの席を叩き、お座り、と言った。
「あ、サキ」
大人しく座ると周りが爆笑していてリョウタはビクッと肩を震わせた。サトルも楽しそうに笑っていた。
(サトルさん…本当に良かった…)
レンとサトルはミナトにも謝りに行ったようで、レンはミナトじっくり詰められたらしい。
トキカゲからは多額の報酬があり、今後の資金になるようだ。レンはボーナスを期待していたが、サトルを傷付けた罪で減額されていた。
(こんな日がずっとずっと続きますように)
そう願って、リョウタはそっと隣のサキの手を握った。サキは何でもないようなフリをして握り返してくれた。
誰も怪我せず、終わった任務。
心の傷はあったものの、良いかたちで幕を閉じた。
リョウタは食器を片付けて、ラップされた2つの食事を見た。
「ハルさん、カズキさんは?」
「シズクのところ。」
「アイリも?」
「いや、アイリは部屋にこもってる」
ハルは心配そうにシズクの部屋とアイリの部屋を見た。
ーーーー
「はっ…はっ…はっ…」
「下がらない…。シズク、少し着替えよう」
ぐったりとしたシズクは2日前から体調を崩していた。シズクの母親に聞いても目立った持病はないようだ。
(なんだ…?何かがおかしい…)
アイリはシズクの血液を分析している。いつもならもう報告に来るが遅い。
「うっ…」
嘔吐も止まらなくて、辛そうに目を潤ませる。感染するかもしれないから人は入れられない。
(早く、解決しなければ)
カズキはシズクを介抱しながら必死で考えた。
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