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第181話 始動
サキとリョウタはアイリの指示で、自宅の水質を調べた。
「これが、青になったらダメってこと?」
「そんな感じだったよな…難しくて後半聞いてなかった」
サキはゆっくりと試験管を振った。透明だった水が、アイリの薬品と混ぜると真っ青になった。
「え…っ」
リョウタは驚いてサキを見た。サキは試験管をリョウタに預けると、ハルの元へと走っていった。
リョウタは手元の試験管を見た。だんだん何かが沈澱していく。その後透明に戻っていく。そしてまた試験管を振ると青くなった。
(不思議だ…。でも、これが今この辺でみんなを苦しめているんだ)
このエリア全域に渡っていると知り、必要なところへの濾過をして周った。犯人の目的が分からない分、更なる被害拡大が予想された。
レンとミナトがモニターに映る地図に、薬品が検出されたところに印をしていく。それがリアルタイムでメンバーに配信された。濃度が濃いところにはアイリが向かっているようだ。
『ヒロ、そっちは?』
「まだなにも情報はありません」
弘樹はレンとミナトが怪しいと目星をつけたところのハッキングや盗聴を始めたが、何も情報は得られない。焦る中、アサヒがのんびりと呟いた。
「学校が狙われた…つーことが大きいよな」
「たしかに。不特定多数の被害に隠したい犯罪…」
「ミナト?」
ミナトはアサヒに答えながら、何かを閃いたのか、シズクの元へと急いだ。
コンコンコン…
「ミナトさん…?」
「カズキ、ごめんね。シズクと話したい」
ミナトはカズキの返事を聞く前に部屋に上がり、苦しそうに目を閉じるシズクの横に座った。
「シズク、シズク」
「はっ…はっ…っ、…っ、?」
ゆっくりと目が開いて、目線だけがこちらに動く。
「シズクの学校、新しい先生とか、転校生とか来た?」
「…っ、は…っ、は…っ、」
「ゆっくりでいいから。」
何か言いたそうなシズクだが、呼吸がし辛いのか眉間に皺が寄る。ゆっくり腕を撫で続けると、シズクはすぅっと息を吸った。
「交換留学っ、で、…っ、海外、の、女の子、が、…っ、うちの、クラスに、来てます…っ、王家の…、お嬢様、とか、らしい、ですよ…っ、」
それだけ言って、顔を真っ青にしてまた嘔吐してしまった。
(王家のお嬢様…)
ミナトは納得し、シズクの介抱を手伝った後に部屋を出た。
『このテロは恐らく王家のお嬢様殺害。計画的なテロの可能性。みんな慎重に。学校と、病院にもそれぞれ向かって。レン、ヒロと代わって。サトルとアイリは濃度の濃いところの調査を。』
ミナトが指示して全員からの返事が来た。
(まずはお嬢様が無事かどうか。それによって動きは大きく変わる。)
ミナトの頭はフル回転していた。
アサヒは隣でそれを見てニヤリと笑った。
(久しぶりに見たわ…こいつの仕事モードの顔。綺麗だよな…)
真剣な顔に見惚れているとギロリと睨まれた。
「ボス、働いてもらっていいですか?」
「あ、すみません」
「犯人の特定が終わり次第行ってもらうから準備してて」
「あ、はい!」
アサヒは急いで準備に入った。
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