4 / 39

第4話

「ぃや、…待って……」 線香に灯を入れようと護衛の男が動いたときだった。 「あの……怖い…のです…」 「どうしたのじゃあ。今日は初めてちゃんと出すタイミングが言えたではないか」 そう、今日は男の肉棒を咥えた初夜から数えて三日目になる。 先程の行為は、飼われてから初めての成功だった。 三日目にして男の巨根を始めてすべて咥え込み、射精の際は、「もう出る…っ」と射精のタイミングを主人に伝えることが出来た。 始めて成功した。 成功して始めて知ったのだ。 頭の考えではなく、心で、体で感じとったのかもしれない。 この愛のない行為。 肉棒役の男が無表情で自分を突く。 声も出さず。息も乱すこともなく。 ただ奥を突いて、主人の飼っている人間の射精を促す行為。 なぜだろう?瞼を閉じ、再び開けると瞳から涙が出ていた。 それを見た老人は、 「おぉ、怖かったのかい?」 老人には少し思い当たる点があったようで、 「今日の大刀役は、皮被りで中出しはせんし、優秀なんじゃが、無表情者での」 そう言うと老人は、未緒の頭をナデナデしてから抱き寄せた。 少し考えてから老人は、護衛の男にこう言った。 「線香は今日、二本で終いじゃあ。あとは外で待っておれ」 それを聞き、護衛の二人の男達は部屋を出た。 線香による時間計側は1本、約30分間程である。 吉原などの遊郭では線香を一人1日3本使用するのが多いと言う。 でも未緒の契約は線香で計れるものではなかった。

ともだちにシェアしよう!