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第27話

その細い腕を肩から撫でる。 「肌に透明感もある。今日の榊様は大いに楽しまれる事だろうね」 「この子の主人は榊様でしたか。では個室は牡丹にお運びでよろしいでしょうか?」 「いや、今日は契花の離れ部屋、菖蒲に運んでおくれ。牡丹には榊様が契約している子がまだいるからね」 「あい、承知致しました」 主人と愛人契約をしている子はこの館には多数いる。 契約した愛人となる通称受け子は、本館の上階に住まうか、本館周りに流れる小川を小橋で渡った先に点々とある客室で夜な夜な愛を受け留めている。 その契約中に気に入った子を見つけた場合は、契の名を配した個部屋を使用したり、本館の一室を使用する。 契約に至るかは試して決めるのである。 「初が個室とは、榊様も気合が入っていますね」 「誰にも取られたくないのだろう」 初物をこの地に入れる際には、最近暗黙のルールが出来つつあった。 初物で本館を使用したときは、楽しんだその後は取引によっては、他に廻しても良いという考えになりつつあった。 しかし小川を橋で渡り、別室を借り受けた受け子は取引外。それがルールになりつつあった。 「さあ、そろそろ出ようか」 湯船に浸かって一分程で手を引かれ、檜湯から体を出した。 浴室から出た隣の部屋で、タオルというふあふあした白い布に包まれた。

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