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第33話

「じゃあ、行こうか」 未緒の右手を手にとり、部屋のドアへと向かう。 先程履いたばかりの底の高い下駄は歩き辛く、天沢の添えてくれる手でバランスをとって歩いた。 「要君、未緒ちゃんを送ってくるから後をよろしくね」 「はい、先生。いってらっしゃいませ」 要は部屋を後にする天沢に一礼した。 そしてそのまま顔を上げられずにいた。 処男を送るのはもう何回も見ている。 それなのに未だ慣れない。 売られてきた少年達。ここには処男が来る率が多い。初物が好みの客が多いのだろう。 要は処男に対して、自分ではまだ分析処理できない思いがあった。 要は自身も経験した処男、受け子の身体的な痛み、心の苦痛があったにも関わらず今はそれを後押しする行為に加担している。 この館で受け子をしていた時に、天沢が手を差し延べてくれたおかげで自分は受け子から抜け出し、今の自分がいる。 まさか受け子が年期もあけず、顧客の受け子を抜けられるとは思っていなかった。 天沢には感謝している。けれど処男を送り出す際は、居た堪れない感情が要の中を渦巻いていた。 その頃、天沢達は階段を降りていた。 底の高い履物に慣れていない未緒はゆっくりと降りていた。 右手に天沢の手、左は階段の手すりでバランスをとって、一歩一歩進んでいた。 それを見ていた天沢は、

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