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第37話
燕尾服の男を後に続くように未緒も玄関から廊下へ行くと、その先の部屋には大きなベッドが一つあった。
「ベッドに上がってください」
「…はい」
ベッドに上がる。
ベッドに上がり、香った微香混じりの香りを吸った。
この香りを嗅ぐと、自分はどうなってしまうのか?と思ったが、お香を嗅いだぐらいで、自身の身に何か起こるとは想像できなかった。
田舎で線香の香りは嗅いだ事はある。それと見た目は一緒だ。ただ香りが花?なのだろうか。怪しげな香りが部屋に漂い始めていた。
これが男娼の身に纏う香りとはそのときは知らなかった。
「わたしは本館の裏で榊様の到着を待ちます。榊様のご到着までお待ちください」
ベッドの前で一礼して、燕尾服の男は去っていった。
それから数十分経ったであろうか、部屋には媚薬混じりの香が充満していた。
媚薬混じりの香の為か、前を弄りたくてしょうがない気分になってきていた。
自慰行為などしたことがない未緒は、どうしていいのかわからないまま、ベッドの上で手持無沙汰になっていた。急に抱きしめる何かが欲しくなって、枕を抱きしめていた。
やがてトントンと扉を叩音がした。
「は、はい」
燕尾服の男が部屋に入ってきた。
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