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第38話
「榊様がお着きです」
「おぉ、未緒や。今日大事な商談がなければ、すぐにでもお前を迎えに行きたかったぞ」
車椅子で入ってきた老人は、ペロリと舌を左から右へ移動させ、目は未緒を舐めまわす様に
見ていた。
燕尾服の男が車椅子の男に一礼して部屋を退出した。
その後すぐに車椅子の男は手を上に上げた。
それと同時に三人の黒服のスーツを着た男達が動いた。
一人は車椅子を押し、ベッドの前まで車椅子を動かした後、壁際へ待機した。
もう一人は別室に向かった。
残りの一人はベッドの上に上がり、ベッドに座っている未緒の後ろにスタンバイした。
「おぉ、可愛いのう、可愛いのう。わしの未緒や、さっそくその肌を見せておくれ」
うしろにいたスーツの男が未緒の肩に手をおき、ベッドに膝をつかせ両肩の着物を下に下した。
「綺麗な肌じゃ。じゃが、乳首が見えんぞ。着物をもっと下に降ろせ」
その言葉に従い、後ろの黒スーツがさらに着物を下げた。
「おぉ、ピンク色の乳首じゃ。小さくて可愛いのう。」
車椅子の老人の後ろから桶を持った黒スーツの男があらわれた。
数時間前に見た木の桶。
あの桶にはねっとりとしたローションが入っている事を未緒は知っている。
自分は体を売られた身である事を自覚しているはずであるが、男のモノを受けとめたことはまだない。
今日がその日なのだと思うと体が硬くなった。
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