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第15話
Ωは直腸の奥に女性でいうところの子宮にあたる生殖器があり、妊娠することが出来る。だから決して種付けしないように管理されていた。それは仕事だからと暗に示されているようなものと同じだった。
それでも体だけは正直に反応を返すから仕方がない。
発情期が始まると溢れる粘液で、アナルはぐっちょりと濡れそぼっていた。
「あっ、ア、ぁあ!」
揺さぶられるたび、開けた口から断続的な、単語にもならない喘ぎだけが紡がれる。
椎奈の首に腕を回せばキスを返してくれた。愛されている気分になる。定期的なこの関係に名前を付けることは難しい。
直腸の奥をズンズンと突き上げられて片手で耐えられずに性器を扱けば頭が白く塗りつぶされるように気持ち良さが込み上げて来る。それに従って頂点まで達してしまえば、先程より薄いどろりとした体液が飛び散った。
「ッく」
きゅっと締まったアナルから椎奈が性器を出し、ゴムを雑に取り払って玲也の腹にかけた。
「おしり、足りない」
「上、乗っていいですよ」
汚れた玲也の腹を拭き取ってくれていた椎奈が新しいゴムをつけてベッドに横になる。その上に玲也が乗り上がりペニスを尻に宛う。
簡単に飲み込むまで開いたアナルが満足そうに肉襞を絡み付かせていた。
性欲が勝るこの時期に徹底して付き合ってくれるまともな相手はそれこそ番を作れば簡単なことだが、誰を信用して良いのかわからないので不可能だった。
椎奈がずっと働き続けるかどうかもわからない。本命が出来て店を辞めてしまったらまた一人、部屋にこもってヒートが過ぎ去るのを耐えなければならないのだ。
噛んで欲しいと言ったのは彼を失いたくない本音だったのかもしれない。
数日が過ぎた。
昼夜を問わず、性欲に任せて常に何かアナルに入っていなければ満足出来ない体は今日も極太の玩具で遊んでいるようにと言われていた。
「かいしゃで、おれのこと……ほんき、で好きだって言われた」
「へぇ、前は別の部署のお偉方で生理的に受け付けないって言ってましたよね。今度はどんな人なんですか」
「同じ部署で……ひとつ年下の、きれいなaの男性」
「においが強いと思ったら、その人が原因みたいですね。ヤったんですか?」
「してない。いまは、いいけど……最初に、Ωくさいって、いわれた」
「玲也さんのにおいって、ヒートが治まっても甘いにおいがしてるからそれかなー。今とか強烈に甘ったるいから外に出たら襲われかねないので危険ですよ」
「しいなさん、しゃぶって」
「はいはい」
シャツ一枚羽織っただけの姿でクッションを枕にして玩具で遊んでいたが、とうとう物足りなくなり椎奈にねだると、勃起したペニスに顔を寄せて玲也の顔のほうに下半身を向けて横になってくれた。椎奈のほうはスラックスしか穿いていないので、脱がせると質量のあるペニスがすぐに顔を出した。
「いただきます」
「じゃあ、俺もいただきます」
互いのものをしゃぶる水音だけがリビングに響いていた。ぴちゃぴちゃとした可愛いものから、次第にじゅぼじゅぼと唾液を多寡に含んだものに変わるのにそう時間はかからなかった。
日溜まりの温かな空間で行うには非健全的で背徳的で、それがまた、たまらない気持ちにさせた。
♦♦♦
「じゃあ、お仕事頑張ってください。ヒートの時は遠慮なく呼んでくださいね」
ヒートの期間が静まった頃、椎奈はきちんと挨拶をして帰って行った。
どのくらいの日数がかかるのか予想がつかないため、人を数日間から数週間拘束してしまうのに若干の抵抗があったが、それが仕事だから平気だと椎奈から諭されたことがある。
仕事場にも連絡をして明日から出社する旨を伝えていた。
都心に近いため、またあの満員電車での通勤が待ち構えていると思うと気が滅入るが、仕方がない。
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