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第18話

 同じように告白されて、断ったらそれでおしまい。  そんなふうに簡単に離れていくのなら最初からいないほうが良い。 「信用出来なくても良い、あなたの傍にいさせてください」 「……っ?」 「時津さんの仮の恋人にさせてください」  これは初めてだった。  数度まばたきをして彼を見つめた。至近距離で見る彼の容姿はやはり綺麗で、自分などが選んで良いものではない気がする。  そう躊躇してしまう。戸惑って、逡巡したのはほんの少し。最初からいないほうが傷つかないと思っていても、せっかく目の前に差し出された幸せには無意識に手を伸ばしたくなる。 「一人にしない?」 「しません」 「ヒートの時は酷いよ」 「何でもします」  ああ、幸福がこんな近くに転がっていたなど思わなかった。第一印象が悪かった彼は、ただ危険だと諭してくれていただけだった。 「そっか、ありがとう」  嬉しさに震える声のまま広い背中に腕を回してぎゅっと抱きしめ返すと、それよりも強い力で抱きしめられた。  これで幸せが手に入るだろうか。Ωとして生まれた幸せが。

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