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第41話

「ん」 「誤解されなくて良かった。離れたらと思うと怖かった」 「それはこっちの台詞。どんなに気にしても離れられたらそれまでだし、本当に俺の所にいてくれてありがとう」 「こちらこそ」  彼の腕に手を回して不安定な体勢から少しだけ固定する。  そして交わした口付けは初めて触れるかのように甘く、自然に伸ばされた舌先を絡めて粘着質な音を奏でると共に彼の発するフェロモンが濃くなった。  瞬きをした瞬間消えてしまいそうだった関係が今日確実に繋がった。永遠にこのにおいだけを愛すると誓って、ざわめきは静寂に変わる。 「圭くん」  ソファに押し倒した彼から発された言葉は続きを楽しみにしている子供のような色を含んでいた。  白のロングTシャツと、ゆったりとしたグレーのサルエルパンツだけを身に着けている彼の着衣を乱すのは簡単で、シャツを捲りながらパンツを下ろしてやれば勃ち上がりかけている性器が顔を出した。自分の半分にも満たない大きさのそれを丁寧に指で擦ってやる。 「ぁ、あ……だめっ」    何の躊躇いもなく口に含めば抵抗するように肩口を押してくる。くしゃりと髪も掴まれたが、さして力が入っていない。  楽しんでいるのはお互い同じだった。  口元に笑みを浮かべ小さなペニスを舐めては吸い上げ思い切り愛撫してやり、シャツの中に手を差し入れ、ぷつりと主張している乳首を指先で虐めてやるとその身がびくびくと震えた。  そして咥内に広がる苦味の精液の味。  それをそのままごくりと飲み込む。今までされてきたが、したのは初めてだった。好きな人の体液だと思うと嫌悪感はまるでなく、逆に愛おしさしか出てこなかった。  ふと顔を上げると、玲也が信じられないという顔で見ていた。 「な……んで、何で、飲むの」 「いつも玲也さんがしてくれるから」 「それでも……恥ずかしい」 「またするよ。嫌って言っても逃げても俺が愛するから」 「圭くん」  ぶわりとにおいが強くなる。   「待って、においだけは我慢出来ないから、待って。今すぐ突っ込みたくなる」 「挿れて良いよ。もう濡れてる」  確かに後孔からは腸液が出ていてそのぬめりがてらてらと光っていたが慣らさずに突っ込める程広がってはいない。指で丹念にひくひくとうごめいている可愛らしい孔をほぐして少しずつ飲み込ませていく。  じゅぷりと指一本飲み込んだら今度は二本に増やして搔き回してやると甘い声が上から漏れる。充分に可愛くてたまらない。 「圭くん」  一つ名前を呼ばれる。  蒸気した頬は朱に染まり、色を含んでいる。その顔で名前を呼ばれどくりと体の中心が脈打った。  伸ばされた手がズボンにかかり、ベルトを丁寧に外してスラックスを下ろされた。下着ごと下ろされた下肢ははしたない程雄を前面に出していて、彼の倍以上の質量を持った性器をさらしていた。それが腹につきそうなくらいそそり立っていた。 「もうこんなになって……好きに、突いて」  両脚を抱えるようにして孔を見せつけてくるものだから、遠慮も謙虚もなくずぶりと性器をひくつく孔へ押し込んだ。  相変わらず気持ち良く受け入れてくれるそこはぬるま湯に浸かっているような感覚に陥る。 「玲也さん、気持ち良いよ」 「圭、くん。キスして」 「ん」  繋がったままその四肢を折り曲げて体重が乗らないように気を配りながらキスを落とす。彼とのキスは誰とも比べ物にもならない程くらりと酩酊にも似た酔いを引き起こす。  それはΩが故なのかもしれないが、彼は特別なのだと自分自身が一番良くわかっていた。  誰でも良いわけではない。

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