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第57話 繋がる川(3) アレスの反撃 (※)
一刻前。
(おかしい。体がおかしい)
羽の激痛に苛まれながら、レリエルは「変な気持ち」になっていた。
痛みのあまり倒れそうになり、アレスに支えられた。
アレスに抱えられたら、だんだんと羽の痛みが収束し、代わりに内側から「変な気持ち」が芽生えてきた。
アレスに着替えを手伝ってもらった時もこんな気持ちになった。でもあの時よりずっと辛かった。辛いと言っても痛いわけでも苦しいわけでもない、経験したことのない「もどかしさ」に苛まれた。
なぜか後孔が疼く。
排泄器官であるはずのその孔が、まるで別のものになってしまったような錯覚を覚えた。そこは何かを求めている。それが何か分からない。
耐えられないもどかしさの中、アレスの半裸が思い浮かんだ。同居生活の中で何度か目にした、逞しい背中、厚い胸板、硬そうな腹筋。これまで何を感じたこともなかったのに、今思い出したら胸がドキドキして、自分で後孔をキュッと締めてしまった。
アレスが欲しい。アレスの……が欲しい……。
なんだろう?アレスの何を、自分は欲しているのだろう。
(遺伝子)
ふいに脳裏にその言葉が浮かんだ。
その言葉を思い出した瞬間、体から妙な匂いが立ち込め始めた。
ルシフェルに言われた言葉。下界に長期滞在するためには、人間の遺伝子を取り込まないといけない。
レリエルは気づいた。
今、自分は、アレスの遺伝子を求めてる、アレスの遺伝子が欲しいんだ、と。
(精液)
次にその単語を思い出した。以前、学校で習った言葉。
人間や獣のオスは排尿器官から精液というものを分泌する。精液は精子という遺伝子運搬細胞を大量に含む。そのように学校の授業で習った。
レリエルは本能で、なすべきことを全て理解した。
この疼く場所に、アレスの精液を注がれればいいのだ、と。
レリエルは目を開け、アレスに訴える。
「アレス……。欲しい……」
困惑するアレスに、レリエルは懸命に伝えた。アレスのなにを、レリエルのどこに、入れて欲しいのか。
頑張って教えたのに、アレスに断られた。ショックだった。目の前にこんなご馳走があるのに、ご馳走は今にも張り詰めてはじけ飛びそうなのに、お預けだなんて。
レリエルは強引に、アレスの下半身で立ち上がる美味しそうなものにくらいついた。
するとアレスは抵抗せず、いっぱい遺伝子を出してくれた。欲しかったものを喉奥に注ぎ込まれ、渇きが癒されるような感覚がした。ひび割れ悲鳴をあげていた渇いた細胞を、隅々まで潤されるような。
背中の羽の皺が薄れ、張りを取り戻し始めたのが分かった。
でも、まだ足りない。
羽はまだ半分萎れているし、下半身でうずく妙なもどかしさも去ってない。やっぱり「後ろ」に入れてもらわないと駄目なんだと思った。
お願いをしたら、アレスは服を脱ぎ、レリエルに圧し掛かった。遺伝子を注いでくれるつもりだ、と思った。やはりアレスは優しいやつだ。
レリエルはアレスの雄雄しい裸体の下で、期待に胸を弾ませる。
「よかった、してくれるんだな!いっぱい遺伝子を注入してくれ!」
「分かった、やるよ、注いでやる……!」
アレスはレリエルの膝裏を抱えて持ち上げた。アレスのペニスはもう立派に復活している。それでこの、渇いた体を潤してくれるのだろう。レリエルは待ち構える。
だが期待は裏切られた。アレスの顔が、広げられた脚へと沈んだ。
「えっ……?何を……」
太ももに舌を這われた。
「えっ?あ……っ」
予想外のことをされてレリエルは面食らう。
「やっ、な、なんで脚なんか……」
初めて肌に与えられる、ぬめぬめとした舌の感触。気持ち悪い感触のはずなのに、気持ちがいいと感じてしまい、頭が混乱した。
アレスの舌が脚の付け根にまで降りてきて、不可解な期待に胸が高鳴れば、無情にもまた遠ざかっていく。一番柔らかく白い部分を唇で吸われた。ちくりと引っ張られる痛みがあり、見れば痕をつけられている。
アレスの舌は、両方の柔らかい太ももを執拗に舐めた。
レリエルはもどかしさにどうにかなりそうだった。無毛の中心部、ピンク色の器官が立ち上がる。排尿の時にしか使ったことがない器官が。
「は、早く入れてくれ!僕は早く、お前が欲しいんだっ」
アレスはやっと、しゃぶりついていた太ももを解放すると、草むらに横たわるレリエルの顔の両脇に腕をついた。上から見下ろし、怖い顔で言う。
「餌として食事扱いされるのはごめんだ。言っておくが、俺だってお前のこと欲しいんだからな、お前とは違う意味で」
アレスは親指の腹でレリエルの胸の、ピンク色の丸い粒を潰す。同時にもう片方の乳首を唇に挟んだ。
レリエルはびくりと背を反らせた。妙な感覚が突き抜けて、腹の奥を火照らせる。乳首を摘まれこねられ、舌の粘膜をなすりつけられ濡らされる。
「やぁっ……、なに、これ……」
「可愛い乳首だ……、ずっとこうしたかった」
熱い吐息と共にアレスは呟く。舐められて、潰されて、引っ張られて、引っかかれて、甘噛みされて。
淡い色味の粒は、熟れた赤い実のようになってツンと立つ。普段、あることを意識すらしないものなのに、触れられるとこんな甘い愉悦を身体中に伝える。
アレスに胸をいじられるたびに、レリエルの体の奥に、もどかしい何かが蓄積されていった。
すくと立ち上がった小ぶりな性器がわななく。最初からずっと疼いている後孔が濡れそぼる。
(なんだこれ、やだ、頭が変になる)
レリエルは下唇を噛み締めた。
「もうやだっ、馬鹿っ、意地悪っ……!」
なんで変なことをいっぱいするんだ。ただココにソレを入れて、注いでくれればいいだけのに。なんでこんな、頭がおかしくなりそうなことを。
アレスは目の周りを赤くして涙を浮かべるレリエルを見下ろし、ごくりと喉を鳴らした。レリエルの金糸のような髪を撫で付け、
「くそっ、本当に、レリエルお前はなんて……。俺こそお前を食べてしまいたい」
(食べたい?僕の遺伝子が欲しいのか?)
アレスの絡みつくような視線が、レリエルの股間で固まる。細くて、勃起してもアレスの指くらいの長さ。アレスは堪えるように息をつくと、それに指を絡めた。
「綺麗な色と形だ、とても同じ男とは思えない……」
アレスはパクリとレリエルの小さな屹立を咥えた。アレスの口の中に、レリエルの茎はすっぽりとおさまった。経験したことのない快感が走った。レリエルは恥ずかさと気持ちよさに頭がぐちゃぐちゃになる。
「ふああっ、や、やめ、僕の遺伝子なんて必要ないだろアレスにはっ!それに天使はそこからアレは出ないっ!」
射精はしないが快感は拾うその器官が、アレスの口の中で固さを増す。すっぽり収められた熱い口内、小さな茎は蠢く分厚い舌に思う様なぶられる。レリエルは身悶えした。
「あっ、あっ、あっ」
細い陰茎はアレスの口内でぷるぷると振るえ、大きな舌がねっとりと絡みつく。生理的な涙にまなじりが濡れた。
アレスの口は、茎の下の双球ごと咥えてしまう。
唇が小さな二つの袋を、もてあそぶようにやわやわと食んだ。双球への刺激にレリエルはびくりと震える。
「ゃっ!馬鹿っ、くすぐったい!」
「ペニスも小さいが、玉も随分小さいな」
口を離したアレスは興味深げに、そして愛おしそうに、舌を出してその小さな袋を優しく舐めた。
すくと立ち上がる小さな屹立を指で大事に扱きながら。
「はうう……っ!」
くすぐったさの先の快感に、背筋がぞわぞわとした。双球のさらに下、ひくつく穴が、とろりと液を垂らす。
それに気づいたアレスが目を見開いた。
「すごいな、こんなに濡れるのか、この穴が。不思議な体だ」
仰向けの膝裏を持ち上げられ、疼く秘部を宙に晒される。レリエルは羞恥に震えた。そこに入れて欲しい、注いで欲しいと願ったが、そんな風にじっくり見てとは言ってないのに。
アレスの唇が、レリエルの白い双丘の谷間に吸い付いた。
「うっ、うそ……」
眩暈を覚える光景。恥ずかしくてたまらない。内側から濡れそぼるその穴の入り口を、味わうように舐めまわされた。
「ひっ、あ……っ!」
敏感な蕾がぬるぬると舌の腹に撫でられ、舌先につつかれる。
「甘い、花の蜜みたいな味がする。これがレリエルの味か」
そう言ってアレスは目を細めた。
「~~~~~っ」
レリエルは耳まで赤くなる。アレスの言葉と表情にすら反応し、穴はまたも蜜をを零した。
双丘の谷間を垂れていく透明な甘い蜜を、アレスは丁寧に舐めとった。尻の狭間を上下するアレスの舌の感触に、レリエルはぞくぞくとする。
次にくぷり、とアレスの指が穴の中に侵入した。
「あっ……!」
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