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第7話 今日のお仕事
軟禁されて、数日が経った。
あれから、フィストは俺を抱き続けていた。久しぶりで腫れているから止めてくれと言ったら、その時は止めてくれたが、腫れが引いたら早速入れられ、そこから休み無しだった。
勿論トイレとか食事はしたが、疲れてうとうと寝ていたのに気が付いたら挿れられていて行為が始まっていたり、シャワーを浴びたいと言ったら連れて行ってくれたものの、そこでまた始まってしまったりした。
正直、あの時逃げていれば良かったとちょっと後悔した。フィストはトイレに行く以外だとずっとべったりくっついていたし、トイレもドアの外まで付いてくるので逃げることも出来なかった。
とは言えずっとセックスは疲れるが、暴力を振るわれたり暴言を言われたりはない。
本気で嫌だとか、疲れたと言えば一応は止めてくれる。
なにより、フィストの態度が本当にのんびり穏やかで軟禁するのが当然って感じで接して来るから、こっちも危機感が持てない。
「ん?……なんだ?」
遠くで電話が鳴る音がする。俺は寝ているベッドで身じろぎをした。
ベルの音で目が覚めたのだが、さっきからずっと鳴っている。
「フィスト。電話が鳴ってますよ」
俺は寝ぼけつつも、隣で寝ているフィストに言った。
「ほっといていいよ」
フィストはそう言ってもぞもぞと体を動かし、俺の背中に顔を埋め、後から抱きしめるとまた寝る態勢に入る。
「何言ってるんですか。さっきからずっと鳴ってますよ。大事な用事だったらどうするんですか。どっちにしろ煩いから出て下さいよ」
気になりだすと煩く感じてきたのでそう促す。
「分かった」
フィストは面倒そうに言って、もそもそと起き上がり目を擦りながら部屋を出て行く。
俺はシーツをかけ直し、もう一度目を閉じる。
昨日も夜遅くまでずっとフィストに抱かれていて、体がだるい。
俺は体力もあるし、するのは嫌いでもないからいいが、これを女性にしたら本当の犯罪だ。
まあ、男でも十分に犯罪だが……。
昨日もデリバリーでピザを頼み食べ終わったら、早速押し倒されてもう嫌だと言うまで行為を続けられた。
フィストも体力があるから、疲れる。もう少し寝たいとうつらうつらしているとフィストが戻ってきた。
「なんの電話だったんですか?」
「職場からだった。無断で休んでたから出勤しろって言われた」
「へー……」
俺は枕に顔を埋めながらぼんやり答える。
「……って、やばいじゃないですか!何してるんですか!」
内容がやっと頭に入ったところで、一瞬で目が覚めた。そう言えばフィストは俺を軟禁した日から、数日ずっと家にいた。
フィストは確か、あの要塞からその後は他の軍施設に移って、高いポストに就いたはずだ。軍を辞めた時にそんな話を聞いた。
元々エリートだから当然なのだが、その分重要な地位に就いている。
それが無断欠勤していたら、それは電話が来るだろう。
「でも、ヤンがいるから……」
「いや、そんな事言っている場合じゃないでしょう。このまま休んでいたら、確実にクビになりますよ?仕事はちゃんと行かないと……」
無断欠勤なんて、本来ならもうとっくにクビになっていても可笑しくないはずだ。でも大丈夫なのはフィストはそれなりの地位があるからだろう。
しかし、これ以上は流石にクビになる。
結婚していて、これから子供も出来るのに、仕事をクビなるなんてシャレにならない。俺はそんなことに加担したくない。
「でも、ヤンは一人だとトイレも行けないだろう」
フィストは真面目な顔をして言う。そもそも軟禁が駄目なことなのに、俺が間違った事を言っているかのような口調に、どっちが正しいのか分からなくなってきた。
「……あー、それなら鎖を用意してください、ある程度の長さの鎖で繋げればトイレもシャワーも行けますよ」
なんで自分からこんな提案をしているのかよく分からなくない。
「鎖……」
「そうすれば、外には行けないし。逃げることもないですよ」
「そうか……そうだな」
フィストは一応納得したのかそう言って頷く。
そんなわけで、フィストは鎖を買って来ると、俺に繋げた。手に繋げると不便だろうということで手錠を足首に付け、鎖と繋いだ。
「ほら、これでトイレも行けるし。なんなら食事も作って待ってるから」
鎖に繋ぎきちんと出られないとアピールしながら言った。
「食事作ってくれるのか?」
「なんなら、掃除もしておいてあげます。どうせ時間はあるし」
皮肉気味に言ったのだがフィストは、途端に嬉しそうな表情をする。
「わかった。じゃあ、行ってくる」
そうして、フィストは服を着替え、無事仕事に向かった。
「はぁ……」
フィストがいなくなって、家の中が静まり返ったところで俺はため息を吐いた。
「いや、本当になんだこれ……」
相変わらずなんでこんな事になっているか分からないし、今日のことでさらに意味が分からなくなった。
「なんで軟禁された方が自分から軟禁のやり方を提案をするんだ」
この数日は、とりあえず流されるまま来てしまったが、相変わらずフィストが俺を軟禁している理由は分からないままだ。
「とりあえず、言った通り掃除でもするか……」
考えたところで、答えを持っているはずのフィスト自身も分かってないみたいだからどうしようもない。
「あらためて見てみると、酷い状態だな……」
俺は鎖をジャラジャラいわせんがら、リビングルームを見渡す。とりあえず、リビングから掃除でもしようと思ったが想像以上に部屋の状態が酷かった。
テーブルには色々な食器やデリバリーの箱が積みあがっていて、床には脱いだ服や酒の空き瓶が転がっている。よく見ると埃も積もっていて汚い。
ここに初めて来た時は半分酔っていたし、暗かったからよく見てなかった。その後は、ほとんど半地下の部屋に籠っていたから、明るい時間に見たのは初めてだ。
男一人だと散らかるのは分かるがそれにしても酷かった。
「フィストは仕事は優秀だけど、こういうことは苦手なのかな」
一緒に軍にいた時も身の回りの事をするのは俺の仕事だった。もともと、こういった細かい身の回りの事が出来なかったのかもしれない。
決められたことは完璧にこなすが、臨機応変に対応しないといけないことは苦手なのかも。
俺を軟禁した時もすぐに逃げられるし、車に轢かれそうになるは、ヌケたところがあったし、常にこんな感じなら手錠の鍵が落ちていたのも納得できる。
「とりあえず、取り掛かるか……」
俺はそう言って掃除を始めた。何もしなくてもフィストは何も言わないだろうが、何かしていた方が気がまぎれる。
「体も訛って……はないか……」
軍時代からの癖で、辞めてからも運動はしていたのだが最近は出来てなかった。しかし、フィストをセックスしていたから一応運動にはなっていたようだ。
フィストも軍人だし体力があるから何度もするし、疲れもしないのだ。
「っていうか、こんなに性欲が強くて奥さんは大丈夫だったのか?」
フィストは夜も昼もなくやりたがるものだから、本当に疲れた。
これが女性だったら、ほとんど暴力だ。
「まあ、フィストは基本的に優しいから。女性に酷い事はしなさそうだけど……」
一応、奥さんと喧嘩したとかの話は聞かないし、そうでない事を願うしかない。
それから、無心で部屋の掃除や洗濯、食事の準備をしていると、いつの間にか外は暗くなっていた。
「ただいま」
「ん?もうそんな時間か。お帰り……うわ!」
フィストは家に入って来るなり、俺のところに来て抱きしめる。
「なんなんですか?」
「いや、ちゃんといたなと思って……」
「どういう事ですか……まあ、いいや。食事が出来てますよ」
フィストの行動は相変わらず予想が付かないし、意味もよくわからない。一個一個考え始めると際限がなさそうなので深く考えるのをやめる。
「作ってくれたのか」
「一応ね。材料がほとんどなくて缶詰とかインスタントの物を使ったんで、たいしたものは作れなかってですけど」
そう言って俺達はキッチンで食事をする。
「美味しい!」
フィストは一口食べると、ニコニコ笑いながら言った。
「それは良かったです。でも、もう材料がほとんどないから明日何か買ってきてください。なにも作れなくなりそうです」
「わかった。何が必要かリストかなにか書いてくれるか?」
「わかりました」
そんな会話をしながら食事をする。足に鎖を繋がれて軟禁されているとは思えないくらい平和な光景だ。
食事が終わるとフィストは「食器は俺が洗うよ」と言って手伝い始めた。
なんだか新婚夫婦みたいなやり取りで複雑な気持ちになってきた。
「じゃあ、俺はシャワーでも浴びてきます」
俺はそう言ってバスルームに向かう。掃除したりしたので埃っぽい。
シャワーを浴びていると、途中でフィストが入って来た。
「入っていいか?」
「もう、入ってるじゃないですか……っちょ……またですか?」
フィストは入ってくるなり、首筋にキスを落し、壁に押し付けるとお尻を揉んできた。
「久しぶりだから」
「久しぶりって、昨日何度もしたじゃないですか……っあ」
お尻を揉んでいた手が割れ目を探り、後孔に指が入ってきた。もう、すっかり慣れた手つきでぐるりと掻きまわす。
「ここ、今日は腫れてないな。後でワセリン塗っておこう」
「ん……あっ……そ、そんな事言って、塗った後も結局するんでしょ?塗る意味な……ん」
そう言っている間も指が三本入ってきていた。腰には硬い物があたっている。
こちらも、中を触られて体温が上がってきた。
フィストの息も荒い。
入っていた指が抜けたと思ったら、すぐにフィストの物が入ってきた。
「っく……」
「ん、んん……あっ……あっ……」
フィストは少し呻いた後、すぐに動き出す。バスルームにシャワーの音と肌がぶつかる音がする。
「はぁ……はぁ……」
「っ……ヤン、いくぞ」
「っああ!」
フィストはギリギリまで腰を引くと一気に奥まで突く。
体がビクビクと跳ね、中を締め付ける。その途端、フィストの物もふくらみ中で出した。
「はぁ……はぁ……もう、せっかく洗ったのに……」
フィストの物が引き抜かれると同時にドロリと白いものが出てきた。
「ああ、悪い。代わりに俺が洗ってやろう」
フィストはスッキリした顔でそう言うと、言った通り俺の体を隅々まで洗い始める。ただいやらしく胸や敏感なところばかり触れてくるので、案の定なかなか進まなかった。
やっと終わると、丁寧にタオルで拭いて部屋に連れて行った。
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