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第19話
誰かの泣き叫ぶ声で目が覚めた。
冷えた真っ黒な部屋に、病院のベッドに寝かされる数十名の少年達の脇を通り真ん中辺りに泣いていた少年の側にいき、手をそっと握る。
「大丈夫、今は恐いものは無いよ。側にいるからね」
大きく息を吸いながら、状況を確認して徐々に落ち着き、落ちるようにまた眠りについた。
どの子もさっきからこんな状態だった。
神崎が言った通り、あの部屋で体を洗い終わる頃に神崎がやって来ると、始めのスーツの男達を連れて少年達に服を着せ、今いるこのの部屋に連れていった。
そして、ベッドに寝かせるなり彼等には、簡単な傷の消毒と点滴が射され後は放置といった形だった。
「…あの彼等に食事は」
「あるわけないでしょう、今食べさせても吐くか、調教中に吐くかの違いです。
一々掃除も手間ですし、食事など無くても栄養はあの点滴で充分ですよ。」
「そうですか」
それでも、痛々しい傷や点滴を見ると納得はできなかった。
「可哀想だと思いますか?」
突然、本心を突かれて戸惑ってしまった。
うんと答えるべきか迷っていると、神崎が続けた。
「なら、彼等と同じ目に合ってみます?」
それには素直に首を横に降った。
一部しか見ていないけど、あんな恐ろしい目に遇いたくなかった
「そうでしょう、結局あなたのそれは偽善ですよ。わかりやすく言えば偽物の優しさです。
可哀想だと思うが、自分がそんな目には会いたくない、彼等の境遇を真に理解できぬまま心配するなんてのはね。
けど、彼等にはこれが一番の筈ですよ。
一時の優しさを知るよりずっと絶望を味わっていた方が精神は安定するんです。
…無駄話が過ぎましたね。それでは今夜はあなた方もここに寝泊まり彼等の監視を行っていて下さい。呉々もここで人数を減らすなんてことは止めてくださいね。あぁ、そうそう勿論今晩はあなた方の飯は抜きです。」
それではと神崎はまた出ていって、疲労も頂点に達していた僕達はそれぞれ眠りに落ちていき、今に至る。
自分より明らかに下に扱われている子達を目にして、怖かった。
明日は、自分があそこにいるのだろうか。
それは嫌だ、あんな人間じゃないみたいな扱われ方はされたくない。
握りしめる手の温もりを感じてしまうのも嫌だった。
僕はこの時なんとなく感じていた、
彼等に情を移しちゃいけないって
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