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第14話
空気が凍り付いた
僕は青年をまっすぐ見つめ返したが、内心心臓が飛び出そうだ
極度の緊張から顎からポタリと汗が落ちる
青年も僕の目をまっすぐ見つめかえし、やがてふっと息を漏らした
「ふっ、ふふふふ あははは、合格だ」
彼は高笑いをしながらそういった
「やっぱりハルならそう言うと思った」
親しい友達に言うようなそんな口調で、にやりとしながら
「えっ」
彼は出したボイスレコーダーをくるくると宙に投げて弄びながら説明し始めた。
「因みにこれは君の母親に似せた声だ、俺は一切面識は無いし、君を売り飛ばすという話すらしていない。」
「…良かった」
僕は安堵して肩から力を抜く、自然と涙が浮かんできて頬から一粒流れ落ちる
それを青年は少しだけ面白くなさそうに目じりを吊り上げてから、ため息を吐く
「君はどこまでも他人なのか…まぁいいや。
ここでその写真を破るようなら、直ちに売りに出していたところだ。
つまらない子はいらないからね。
まぁ、奴隷には変わり無いけど少しだけ周りよりは特別な僕専用の飼いビトになった。」
「飼いビト」
「僕のお世話係だ、いやねこの前まで飼った子は精神病んじゃって最後はゴミも同然でさ、どこに売り飛ばしたんだっけ…あぁ、そうそう。
人形みたいな人間にしか興奮できない、デブのおっさんのとこだった!
まぁ、そんなわけだから、あまり期待もしていないけどそこそこ退屈させないようにしてくれよ。」
内容は正直ほんとんど理解できなかったけど、怖気が走った。
彼は一切嘘は言っていない、それは彼の嬉々とした表情で確信した
本気で、恐ろしいことをした
それを何の悪びれもなく、子供が自慢げに母親に説明するような口調で、悪いコトだと知っていながらなのか、知らなくてなのか、そこの真意はわからないけれど兎に角彼は、それを純粋な感情でやったというのは伝わって、背中がつうと冷たくなったのを感じた
「あれ、僕のこと怖くなった?
まぁ、いいや。仕事は明日から覚えてもらうよ、まずは僕のモノになったっていう印をつけてあげなくちゃね」
彼がそういうと、後ろの扉が開く音がして振りむくと二人のガタイの良い大人が入ってきた。
一人は先が真っ赤に熱せられている鉄の棒を持っていた
瞬発的に感じた危機感で立ち上がろうとしたが、それをもう一人の何も持っていない方が許さず、僕の腕を掴みたちまち床に抑え込まれた。
「やっ、やだぁ!」
「へぇ、焼印は知ってるんだ。まぁ、誰でもわかるもんだよね」
泣き叫ぼうが意味がない、頭では理解していても迫りくる判子のような形をした棒に恐怖せずにはいられない。
焼き鏝との距離が無くなったとき
「ぎゃぁぁぁあああああ」
肉が焼けるような臭いと、喉が破れそうな叫び声と、気が狂いそうな痛みを意識に刻み付けて気を失った。
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