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第33話

浴室から連れてこられた場所は薄暗く蠟燭の灯りに照らされたベッドが一台置かれている部屋だった。 「今からその身を清めますのでベッドにうつ伏せにになりなさい」 「えっ?」 「聞こえませんでしたか、横になりなさいと言ったのです」 突然そんな事を言われても、とは思ったけど従うしかないのでおずおずとうつ伏せになった すると神崎さんがふくらはぎに触れてきた 「えっ?…ちょっ」 「黙っていなさい、何も怪しいものは塗っていません。ボディークリームです。 肌触りの良いものにしなければなりませんからね、それに髪もぼさぼさのままではいけませんよ」 そういいながら丁寧に下から上に向かってマッサージをするようにクリームを塗っている。 正直、気持ちよかった。 身体がぽかぽかしてくる、それに部屋には何だかいい香りが充満していた。 「ハーブをブレンドしたものを香として焚いています、リラックス効果があるはずです。 暫くじっとしていてください」 「は…はい」 マッサージは全身に及んだ、気持ち良すぎて途中うとうとまでしかけてしまった。 てっきり怒られると思ったけど神崎さんは黙ってマッサージを施すばかりで何も言ってこなかったどころか 「眠いなら寝ておきなさい」 とまで言ってくるものなので、逆に怖くて目が冴えてしまった。 マッサージを終えると次は爪を整えられ、髪の毛にも透明なオイルを塗られ艶のある髪に仕立て上げられてしまった まるで、お姫様の身支度のような光景で自分に何が起きているのか益々わからなかった それに洋服はこのままぽいしな、まさかまたどこかに売られるんじゃ 「あ、あの売られるんですか?」 「売られませんよ、だからこのように丁寧に手入をしているのです。 最後に口に紅を引きますから口を閉じなさい」 神崎さんは相変らず無表情のままで、似つかわしくないお母さんが持っていたような口紅を筆に取りながら言ってきた。 僕は言われるがまま口をきゅっと閉じて何となく目をつむる。 少しして、唇に塗られてる感じがした。 男の子なのになんでこんなこと…もしかして 脳裏には一つだけ思い当たる節があった。十中八九それだ、けどあまり望んではいない未来 僕はとりあえず考えるのをやめた。 自分の意志は関係ない、ここはこの人たちを不機嫌にさせないことが大切なんだから 紅を引き終わると本当に終わりだったようで、神崎さんが立ちなさいと言ってきた。 「今からあの方のところへご案内いたします…」

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