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第9話

研修の帰りに寄ったスーパーの冷凍食品コーナーで俺はぼんやりとアイスを眺めていた。 昔から疲れると甘いものが食べたくなる質なので、賞味期限を気にせず好きな時に食べられるアイスを家にストックしておくことが多い。 そう言えばよく実験室の実験用の素材が入った冷凍庫に通学途中で買って持っていったファミリーパックのアイスを入れて同じ研究室の奴らに気持ち悪がられてたなとどうでも良いことを思い出す。 一個の単価が高い物ではなく、ファミリーパックやお徳用の方が好きなので先日カイに言われた“ケチ”は当てはまるなと笑いそうになる。 「カイに食べさせるものはストックしてあるし…。いいや。好きなの買っちゃお」 俺は買い物カゴを取りに行き、目についたアイスの箱をどんどんカゴに入れていき今度は牛乳のコーナーへと向かう。 棚の上の方にある生乳の生クリームのパックを手に取り、濃度を確認して濃い方を3個程カゴに放り込む。 今度は日配のスイーツコーナーで割引のシールがついたスイーツを適当にカゴに入れ、スイーツコーナーのケースの隅にある泡立て済みのホイップクリームの箱も何個かカゴに入れる。 泡立て済みの生クリームをスーパーで見つけた時は衝撃的だった。 研修先から近いスーパーではフローズンタイプのホイップクリームは置いてなかったので、今度業務用の食品が置いてあるスーパーに行こうと心に決めた。 フローズンタイプのホイップクリームは正確にはホイップクリームとは呼べないがあれはあれで美味しいのだ。 フローズンタイプのホイップクリームを見つけた時も驚いたが、業務用食品のスーパーでは冷凍のケーキなんかも置いてあるので俺にとってのオアシスとなっている。 冷凍のケーキの事を考えながら今日の夜に食べるためのお弁当を適当に選んでカゴに入れてからレジに並ぶ。 「ありがとうございます」 カイ名義のキャッシュカードを出して会計を終えると、アイスが溶けないうちにとビニール袋にさっさと詰めて足早に帰路に着く。 アイスを持っている時は時間との勝負だと思っているので小走りに近い早さで歩く。 しかし、そんな時に限って携帯が鳴るのだ。 「はい。何でしょうか?今急いでるんですが」 『こんな時間にごめんね。明日暇かな?』 「暇じゃないですし、今も暇じゃないです」 相手も確認せずに電話に出てしまったのが間違いだった。 電話の相手に暇では無いことを告げるとすぐに電話を切って走る。 また電話が鳴るが俺は無視して家に急ぐ。 「しつこいなっ!」 何とかマンションまで来たが、電話は鳴り続けている。 俺はずっと無視をしつつ部屋の前までくると鳴っている電話を取って後でかけ直すと一言だけ言って返事も聞かないまま再び電話を切った。 ポケットから改めて鍵を取り出し、一旦息を整えてから扉を開ける。 中に入り、ただいまと中に声をかけるが当然返事は返ってこない。 そんな事を無視しつつキッチンへ急いだ。 実は俺だけの為に大きな冷凍庫を買ってもらっている。 冷凍庫を開けて、ビニール袋に入っているファミリーパックの箱を取り出して封を開けて箱を逆さまにして中身だけを引き出の中へ次々に入れていく。 空いた箱はシンクの上に放り投げたり床に投げる。 「ふぅ。アイス終わり!」 アイスを全部冷凍庫へ納めると、俺はやっと大きく息を吐く。 アイスを納めるついでに冷凍庫から作り置きして冷凍していたカイの夕食を取り出す。 放り投げたアイスの箱を拾って箱を次々に潰していく。 合間に床に置いてあるビニール袋から適当に日配のスイーツを一つ取り出して封を開けた。 適当に取ったのはエクレアだったので、がぶりとかじりつく。 アイスと一緒に袋に入っていたので上のチョコレートが冷えてパリッとしていて、下のシュー生地が中のカスタードクリームの水分を少し吸ってふにゃっとしていながらも少しもちっとしている。 舌に感じる甘味にむふーっと満足げな息がもれてしまう。 「よしっ!カイのご飯あたためよ」 アイスの箱を全部潰したところで冷蔵庫と冷凍庫の隙間に入れておいた紙袋に潰した箱をひとまず入れておく。 もう少したまったら紐で縛って廃品回収に出さねばと思いながらビニールからは別のスイーツを出す。 今度手に当たったのはスポンジ生地に生クリームとバナナが丸ごと入ったやつだ。 ペリペリとビニールを開けなから、皿に冷凍しておいた作り置きのおかずを乗せてラップをする。 ラップをした皿を電子レンジに入れて床に置いていたスイーツが入っているビニール袋を持ち上げて今度は冷蔵庫を開けてスイーツや乳製品達を冷蔵庫に納めていく。 「まだかかって来てるし…諦めない人だな」 もぐもぐと片手でケーキを食べながら何度目か分からない携帯のコールを聴きながら画面を見ると、案の定教授からだった。 入学当初から親友の航と一緒に可愛がってもらっているが時々ウザイ時がある。 さっきも後からかけると言ったのにそんなに急ぐ事だろうか。 面倒だが電子レンジがまだ終わらないので仕方がないので出ることにした。 「はい。さっきかけ直すって言いましたよね?暇なんですか?」 『そうじゃないんだけど、如月院長から君の事を自慢されちゃって久々に会いたくなったんだけど…時間開けられない?もうすぐ如月病院の研修期間終わって研修後のレポート期間でしょ?レポート出しに来たら一緒にどう?如月くんも来るって言ってるし…』 「航め…。メールで提出すればいいのに」 『そう言わないでよ。如月くんは御曹司なのに、真面目で勤勉だよ』 「貴方に言われなくても知ってますが?」 手についたクリームを舐めながら航の事をフォローする教授に溜め息が出る。 内科の教授の中では一番実績のある木下教授には一年生の半ばから目をかけてもらっている。 よく航と一緒に手伝いと言う名の無賃労働をさせらられたが、それは俺を呼び出すための口実だったので俺はいつも適当に手伝っていたものだ。 手伝いの後は木下教授と食事をしてから一緒にホテルなり教授の部屋に行くのが恒例だったが、今は研修期間で研究室に行く時間も滅多にない。 そして教授の話で、院長が余計な事をしてくれた事が分かってイラッとする。 心の中ではあいつ何を自慢してるんだと怒りすら込み上げてくるが、一応電話口の声は冷静を装っておく。 俺は関係を持っている相手の前で感情を露にしない様に心がけているので、少しでもそういう様子を見せれば自分が特別なんだと勘違いしてしまう事が容易に想像できるので俺は極力冷静な対応をしている。 「分かりました。では金額はいつも通りで。あと、直接の呼び出しはルール違反ですので、ペナルティを払っていただきます」 『な、何かな?単位はあげられないよ?』 「私は優秀なので、単位なんて無形の物は要りません。大学近くに新しくパティスリーができたと聞きました。毎日行列ができているらしいので、教授自らそこの看板商品をホールで買ってきてください」 『そんなことでいいのか?』 「ええ。でも、忙しい私達の後輩に代わりに行かせるのは無しです。必ず教授自らが女性に混じって好奇の目に晒されて来てくださいね?嬉しいでしょ?では研修が終わったら行くので必ず自分で買いに行くんですよ?」 電話口からは俺の言葉を聞いた教授から豚の様な喜びの声があがった。 その声が本当に気持ち悪いと言ってやれば益々喜んでるので俺は早々に電話を切ってやる。 電子レンジはとうに止まってしまっていて俺は大きな溜め息が出た。 皿を電子レンジから出してラップを外す。 皿には茄子のはさみ揚げとシリコンカップに入ったトマト味のショートパスタが乗っている。 茄子のはさみ揚げは本来中身はひき肉なのだが、カイの為にベーコンとチーズが挟んだのを作った。 カイは少食なのでメインのパスタも少量だが、トマトソースのショートパスタには彩りにインゲンとアスパラが散りばめてある。 俺が休みの日にコツコツ作ってストックして置いてあるものをカイには食べさせて、俺は適当にスーパーで買った弁当とかを食べている。 疲れているというのもあるが、どうしても帰ってきてから自分の為に料理をする気になれないので軽く済ませてしまう。 カイに弁当の事がバレると自分の分を寄越そうとするので、面倒だが弁当を温めた後に皿に乗せるようにしてる。 流石に皿に乗った状態だと自分の分と料理が違うとは言わないので面倒でも皿に乗せなければならない。 「カイ~?遅くなってごめんね。ご飯食べよ!」 俺はキッチンでショートパスタにパセリと一緒に黒い粉末をかける。 スープも今日はシンプルなコンソメスープなので、指先に専用の器具で針を刺して患部に力を入れると痛みと共に血が2、3滴カップの中へ垂れた。 スプーンでぐるぐるとカップを回すと血の色が全く分からなくなる。 実はダイニングにあるソファーの上でカイが寝ているのが見えていたので電話にも出たのだが、すぅすぅと可愛らしい寝息が聞こえていた。 ダイニングテーブルの上に皿を置いてからソファーに近付いてカイに声をかけるも当然起きないので、俺はソファーの横に屈んだ。 「起きて~?」 「んー?」 指先で頬をつつくと声はするものの起きる気配はないので、俺はいたずらを思い付いた。 キッチンへ戻り冷蔵庫を開ける。 ホイップクリームの箱を取り出してダイニングに戻るとカイの服をめくりあげた。 明るい部屋で見るカイの身体はやはり白い肌に可愛らしい乳首がちょこんとついていてショートケーキを彷彿とさせる。 俺は箱からクリームの袋を取り出して手で揉むと、先端のパーツを捻った。 パキッというプラスチックが開く音の後にキャップを外してソファーの前に置いてあるローテーブルにキャップを置く。 上着をなるべく首もとまで押しやり、今度はチノパンに手を掛ける。 革のベルトをつけるなんて難しい事ができないカイは俺が着けたゴム製のベルトでスラックスの調節をしていた。 ゴム製のベルトなのと、カイの細い腰のおかけで引き下げるだけで下着が露になる。 下着もずらすとカイの可愛らしいペニスがポロンと顔を出す。 「ハートにしちゃおうかな。ふふふ」 俺は開けたホイップクリームの袋を握り、カイの胸にクリームを絞り出す。 乳首を囲むようにハート型にクリームを絞り出して、ペニスの根本にも可愛らしくクリームでハートを作る。 何だかお腹が寂しいなとおへそもクリームでハートを作った。 「可愛いね。写真撮っちゃおうかな」 キッチンへスマホを取りに行って何枚か別角度で写真を撮っていく。 カイの低めの体温でもクリームが溶けてきてしまったので、俺は慌ててクリームを舐めとる。 最初は大きく口を開けてクリームごと乳首を吸う。 胸のクリームを吸うと、今度はヘソのクリームを舐める。 腹を舐めていると、ペニスのホイップクリームが、股関節辺りに垂れそうになっていたので急いでペニスごと口に含んだ。 しばらく口をモゴモゴさせながらホイップクリームを味わっていると、頭に軽い衝撃があった。 起きたのかと目線をずらすと、手が見えたのでまだ寝ぼけてると判断してペニスから口を離してすぐに服を整えてやる。 それからなに食わぬ顔でカイの肩を揺すり起こしてやることにした。 お楽しみは後に取っておこうと俺はほくそえんだ。

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