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第25話
「はーあ。だっる」
カイとの幸せな日々を送っていたのに、自分が入れた携帯のスケジュールの通知を見て俺はついつい大きなため息と本音が漏れる。
今日は3ヶ月に1度の教授と会う日だ。
研修が始まってからは会う頻度を少しずつ減らしているのと、毎日忙しい上にカイとも上手くいってるので会う必要性が無かった。
しかし、自分の病院を持ちたいという夢の為にはどうしてもお金が要る。
ある意味パトロンの1人である教授からは金を搾り取る以外に感情はない。
「本当にこのホテル好きだな」
渋々用意を済ませ、カイは瀬戸さんに任せて指定のホテルまでやってきた。
安いラブホテルなどではない郊外にある温泉やリラクゼーションといったサービスが売りのスパホテルというやつだ。
少し前から教授はこのホテルが気に入っているらしく、指定先がスパホテルだった。
個人的には教授や院長や他のパトロン達と会うのに車に乗りたくないのでなるべく公共機関を使いたいのにこのスパホテルは郊外でも車を使わないと行けない場所にあるため最寄りの駅から仕方がなくタクシーを使わなければならない。
このタクシー料金も上乗せしてやろうと思いつつ、運転手に料金を支払った。
「やぁ。待たせたね」
「ええ。すごく待ちました」
「それにしたら、随分寛いでるね」
「どなたかのおかげで、何度も来てますからね」
待ち合わせの時間より早くついてしまった俺は、ホテルのラウンジで最初は珈琲を飲んでいたのだが折角なのでスイーツを何個かつまませてもらっていた。
ケータイで到着の連絡を受けてラウンジに居ることを伝え近付いて来た教授は空いた皿を見て、苦笑いするが俺は気にせず優雅に足を組み直す。
このスパホテルはスイーツにも力を入れていて教授は毎回数種類を夕食の時に予約をしていてくれている。
会う回数が少なくなってきたのに危機感を感じているのか、どうしても一晩一緒に過ごしたいといわれるので毎回一晩を共にするがその分料金も今までより高くしていた。
俺は毎回別れ際に次会う時迄にまた稼いでおいてくださいと言うからか、治験や論文を精力的に書いてるらしいと同級生が言っていた。
ご苦労な事だと思いながら俺はケーキの最後の1口を口に入れる。
クリームの濃厚な味が脳で幸せ物質に変わるのが分かる。
「では部屋に行こうか」
「気が早いですね」
俺がケーキの余韻に浸っていると、不躾に俺の肩に手を置いてくる教授の手を払い除けて立ち上がった。
言葉とは裏腹に少し嫌そうな表情をしてやれば、教授は嬉しそうに腰へ手をまわして来ようとしたのでそれも叩き落としてやる。
何がそんなに嬉しいのかニコニコと笑う教授を一瞥して着替えの入ったバッグを持ち上げた。
持ち上げたバックを持とうと手を伸ばしてきた教授の手を今度はやんわりと手で制して俺はバックを肩にかけて歩きだす。
流石に座っている状態ならまだしも、公共の場所で明らかに年下の相手からぞんざいに扱われているのを見られるのはよくない。
世間体などと言うよりも俺達の関係性を変に勘繰られたり人がまばらだとはいえ、変に注目もされたくなかった。
「夕飯までに一回岩盤浴かサウナにでも行きますか?」
「そうだね。折角だからね」
先にチェックインを済ませておいてから俺に合流した教授に続いてエレベーターに乗って目的階に着くと、廊下にはアロマの匂いが漂っていた。
部屋に入るとインテリアも拘っていて、毎回最終目的は決まっているのに変なこだわりだななんて思いながらバッグを部屋の隅にあったバゲージラックに置く。
館内着はスパのフロアに置いてあるので、勝手知ったるなんとやらで替えの下着だけを持って部屋を出る。
「はぁ。教授が居なければ、本当に最高なんですけどね」
「ははは。そんな意地悪言わないで欲しいな」
貸し切りの個室の岩盤浴でリラックスしていると、ふと教授が隣に居たことを思い出した。
本当にこの人が居なければ最高なリフレッシュタイムだっただろう。
俺は本気で言っているのだが、教授は冗談だと思っているのかいつもの事だと思っているのか言葉に反して嬉しそうにしている。
仰向けになっていた体勢からうつ伏せになると、顎の下に手を置いて大きくため息をついた。
個室なので、部屋の中には俺と教授しか居ない。
しかもリラックスできるようにと少し照明が落としてあり、リラクゼーション的な音楽が流れている。
流石に日頃の疲れが出てうとうとしていると教授が動いた気配がするが俺は気にもしない。
「卯月くん触ってもいいかな?」
「上乗せしてくれるなら、オイルマッサージもいいですよ」
「ほ、本当かい!」
眠くて仕方ないが、おずおずと俺に問いかけてくる教授に飴を与えてみるとすごく弾んだ声を出した。
スパ施設があるだけあって、ボディーオイルや入浴剤のバーなどのサービスが充実している。
教授がボディーマッサージ用のオイルを選んでいるのを知っていたので許可を出した。
俺が何もしなくていいなら少し身体を触らせるくらいどうでも良かった。
「足張ってるね」
「立ち仕事ですからね」
手につけたオイルを足の甲に塗ったと思ったら、足をマッサージしてきた。
内心そこからかとも思ったが、ベッド式の岩盤浴が温かくて教授の方すら見ない。
足の甲から足の裏、脛や脹ら脛。
館内着の裾から太股へ手がのびて来たが、今日は特に咎めもしない。
「どうしました?触りたいですか?」
「あぁ。折角ここまで来たんだから…触らせてもらえないだろうか」
「ダメです。部屋までお預けです」
遂に足の付け根辺りに手がのびて来たので、やんわりと手を押し返す。
ゆっくりと起き上がりわざとどうしたのかと問いかけると、少し前屈みになりつつ懇願してきたので俺はニヤリと笑う。
少し身体を傾け教授の耳元へ囁くと、教授がぶるりと震えた。
手をのばして少し膨らんだ股間へ軽く触れると、身体を更に丸くしたのでいい歳の癖にお盛んだなぁと呆れると共に感心してしまう。
本当に気持ち悪いなと思いつつ、ベッドからおろして教授を床に座らせる。
教授の太股に足を乗せて、少し館内着の裾を捲ってやった。
マッサージオイルのせいか、薄暗い照明でも肌がテカテカしているのが分かる。
「ではそろそろ夕飯に行きましょうか。ケーキを予約してくれているんですよね?」
「あ、あぁ!君の為に何種類か予約してあるんだ」
俺は裾を戻して教授の股間を少し強めに踏むと、何事も無かったかの様に立ち上がる。
身体の芯から温まり、額にはうっすらと汗がにじんでいるのを感じて掌で拭って教授に濡れた手を擦り付けた。
そんなぞんざいに扱われていることが嬉しいのか、俺がさっさと部屋を出るとそれについてくる。
軽くシャワーで汗を流して新しい館内着に着替えて食事会場に向かう。
夕飯はビュッフェスタイルで、食事会場には館内着の客が食事を楽しんでいる。
俺達も適当な席で食事を楽しんでいると、食事が粗方終わる頃にスイーツのプレートが席に運ばれてきた。
「おいしそうですね」
プレートには一口大のケーキが何個も乗っており、ビュッフェのメニューにはないソルベやアイスクリーム等の氷菓も乗っていた。
ビュッフェのコーナーのスイーツは少な目なので、教授曰くスイーツに力を入れているだけあってスイーツのプレートが別料金で用意されているとの事だった。
一応種類が沢山乗っているプレートを予約してくれたらしい。
俺は赤色の多分ベリー系のソルベを口に入れると、甘酸っぱさとベリーの香りが口の中を駆け抜けていく。
教授の分も俺に寄越したので俺はそれをありがたくいただいた。
「ごちそうさまでした」
部屋に帰ってベッドの縁に座って腹を撫でるのをじっと見てくる教授に軽く手招きする。
とぼとぼと俺に近付いてきた教授の太股を意味ありげに撫でてやると、再び股間部分の布が持ち上がりテントを張ってしまう。
そのテントを張った股間を見てクスクスと笑うと、教授がまた震え出す。
「待ちきれなかったんですか?でも、今はお腹いっぱいなので持ってきた物出してください」
俺の言葉に犬の様に喜ぶ教授は自身のバッグから新品のオナホールを取り出しこちらに持ってくる。
ハッハッと短く息を吐く教授にそれを差し出され、俺は俺の足元に跪いた教授の頭を撫でてやった。
本当に俺みたいな育ちきった男に興奮する教授や院長達の気が知れない。
上京した頃なら分かるがとも考えたが、嫌な記憶が蘇りそうだったので俺は頭を振って気を紛らわせた。
有名な二色のボーダーデザインのオナホールのシュリンクを外して教授に今度はローションを持ってくるように指示する。
本当に犬の“とってこい”みたいに何度かバッグと俺を往復させていくうちに教授は更に興奮している様子だったので、準備したオナホールを使ってやると呆気なく絶頂を迎えた。
「あれ?もうイッちゃったんですか?」
「うっ…」
「こんな事で絶頂しちゃうなんて、私は今日来なくても良かったんじゃないですか?今度からこのオナホールに相手してもらえばどうです?」
ずるりとオナホールからペニスを引き出すとくたりと力なく項垂れている。
呆気なく絶頂した教授にオナホールを投げつけ、こんなにすぐ果ててしまうなら別に俺じゃなくても1人でしてればいいのにと大きくため息をつく。
足を組み換えてこの先どうしようかと考えていると、教授に腕を掴まれそのままベッドに押し倒された。
何が起きたのか理解する前に館内着の下を奪われ、教授に取りに行かせたローションを尻に垂らされる。
「ちょ!きのっ!」
「今日は好きにして良いって言ってたよね?お金は弾むから、卯月くんも気持ちよくしてあげる」
抵抗する間もなく孔へ指を入れられ前立腺を執拗に攻められる。
久しぶりの後ろへの刺激と急展開に身体がついていかない。
ローションを足されながらしつこく前立腺を刺激されながら孔を弄るぐちゅぐちゅという音が部屋に響く。
「気持ちいい?」
「はっ…キモッ」
いつの間にか勃起したペニスを孔に擦り付けながら、俺に気持ちいいかと問いかけてきたので思わず本音が漏れた。
しかし、それを了解と曲解した教授は俺にペニスを埋める。
たった3ヶ月後ろを使っていなかっただけで、教授を引き千切らんばかりに締め付けてしまう。
ゆっくりと腰を動かし始めるのも気持ちが悪くて思わず睨んでしまったが、教授は嬉しそうにしている。
半ば無理やりの様に行為が始まってしまいながら、夜はふけていった。
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