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第19話
「あんた、最初から?」
「んー?」
生返事をしながら、周防は真那人の胸に視線を集中させ、右側の突起を摘みコリコリと弄り始めた。
そして反対の突起にも手の指を当て、撫でてくる。
次第に真那人の理性も飛び始め、胸元に熱が集まってくるのを感じた。
「あっ……やめろって、そこ」
「え、じゃやめるよ?いいんだろ?」
ニヤリと不敵に笑い、意地悪に言う周防は、弄る手を止めてしまった。
しかし直ぐに、表情は苦渋に満ちたものへと変わる。真那人にはその変化の意味が分からず、困惑した。
そして周防は、はだけた真那人のシャツを整えて合わせた。
「な、なんで……」
止めるんだ。
真那人としても、自分の体の熱をどうすれば良いのか分からない。
正直、このまま放置されても困ってしまう。
「俺が悪かった。暴走した。モデルをダシにして、お前をどうにかしようと思ったが、やっぱ無理だ」
どういう意味だろう。
「周防さん……」
熱を持て余し、所在なさげに真那人は縋る(すがる)ような目を周防に向けた。
しかし、周防は真那人の方を向くことなく立ち上がって後ろを向き、広げていたファイルを片付けそれを持ち歩き出した。
「用あるから、出るわ。服、整えてから帰れよ」
真那人と目も合わせず言い置いて、周防は部屋を出ていってしまった。
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