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第27話
「へぇ~?それって真那人さんにも当てはまるんじゃないっすか?もしかして、真那人さんのこととか?」
拓実は軽めないつもの口調で言ったが、周防の方を向く目は挑むような感情すら透けて見える。それに気付いたのかは分からないが、周防は特段気にする素振りは見せなかった。
「そうか?」
周防は僅かに微笑み、酒を口にした。
「じゃ、真那人さんどうっすか?凄いイケてますよ?」
拓実はまたしても周防に顔を向けた。
「おい、拓実。やめろって」
恥ずかしくて、真那人は拓実を制止する。
「そうだな。真那人は輝いてるよ。それに、気も合うし仲良くさせてもらってるからな」
「でしょ?まんざらでもないってことっすよね?」
拓実は不敵にニヤリと笑った。
「まぁ、いいんじゃないか?」
周防はどちらともつかない返答をし、はっきりとはさせなかった。そのことに、なぜか心の奥底で”寂しい”と感じる自分がいたが、真那人は気付かないフリでいた。
「じゃ、後は2人で飲んでてください。俺、野暮用思い出したんすよ」
「え?」
真那人は大いに焦った。この状況で、周防と二人にするというのか。いや、いつもなら別に周防とサシで飲むなんて普通のことだが、何となく今晩は気まずいのだ。
「おい、拓実!」
周防も焦っているみたいだが、拓実は意に介さず席を立ち「じゃ、お疲れっす」と言い残して店を出て行ってしまった。
真那人には意味深にアイコンタクトをしたけれど。
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