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第29話

部屋に着くと、真那人はリビングの窓辺に行きカーテンを開けた。 周防の部屋はマンションの高層階にある。広く、バルコニーからの眺めも良く眼下の夜景を一人占めしてるような気になれる。 「やっぱここの眺めいいな」  真那人はここからの眺めが好きだった。この素敵な部屋も。 いつか自分もこんな部屋に……。 「お前、好きだよな。ここに越してくるか?」  周防は笑った。  冗談だというのは分かっているけれど、それも楽しそうだなともほんの少しだけ思ってしまう。 「え、それは遠慮する」  周防と暮らしたら、きっと心が落ち着かないし自分の心の奥底にあるものが暴かれてしまいそうだから、怖い。 「何だよ、広さ的に余裕はあるぞ?」  周防はさも本気のような言い方をした。 「そうかもしんねぇけど、そういう問題じゃ……」 「えー?何なんだ一体?」 「いや、別に。なぁ、早くワイン飲みてー」 「分かった。ちょっと待ってて」  周防が用意してくれたワインは少し値の張るものらしく、殊の外美味しかった。 二人してしこたま酒を飲み、いつのまにか真那人はべろんべろんに酔っぱらってしまい、ソファーで寝てしまった。 「おい、真那人?そこで寝るなよ、風邪ひくだろう?」 「……」  周防が揺すっても起きる気配がない。  すると、何を思ったか周防はソファーに横たわる真那人に跨った。すると、真那人も薄っすらと目を覚ます。 「う……」  まだ寝ぼけまなこで状況が把握できていない。 しかし徐々に覚醒してきた真那人は、目を見開いた。 「重……何してんだよ!」 「んー?真那人があんまり可愛く寝てるからさ。楽しみたくなってさ」 「は!?」  周防は、半ばはだけている真那人のシャツの胸元のボタンを器用に外し、肌を露わにさせた。

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