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第39話

 それからは、真那人は誘われて周防の部屋で抱かれたり、自分の部屋あるいは時にホテルに連れて行かれることさえあった。 好きと言われるわけでもない。まるでただのセフレのようだと真那人は内心思っていた。  でも求められると拒めない。好きな相手に抱かれるのは嬉しいが、今は一方通行な気持ちが苦しさを増している。自分だけが好きなのに抱かれるということに、疲れてきた。  夏も終わりかけ、風も少し涼しくなってきた頃、その日も真那人は周防の部屋で抱かれた。ひとしきり繋がり合い、疲れ果ててベッドに2人で横になっている時に真那人は切り出した。 「俺とアンタって何なんだろうな……」  何気なさを装って呟くと、周防は目を丸くして真那人に顔を向けて一瞬沈黙した。 「え、何って……仕事関係であり友達、かな」  周防は髪を撫でてきた。手付きがどこまでも優しくて、それだけで真那人の胸はキュンと泣く。自分の気持ちは一方通行なのかという切なさと、こうして隣りにいられるという幸福感を孕んで。 「俺たちさ、何かセフレみたいじゃね?セフレなのか?俺たち」  真那人が周防の目を捉えて聞くと、周防はすぐには返答をしなかった。 「な、なんだよ……」  沈黙に、真那人は耐えられなくなる。 「あーぁ。もう無理か」  その1言だけ、周防は呟いた。 「は??」  何が無理だというのか、真那人は意味が分からない。 「ちゃんと言ってくれよ」 「お前とは、単にカラダの関係でいたくてしてるんじゃない。お前と一緒にいたいだけだよ」  それだけじゃ、イマイチ意味を図りかねる。

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