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第43話
「で、でも……どうやって……」
“その時”だけであっても、また輝いてみたい気はある。ただどうやって実現すれば良い?
「まぁ、『STARS』に特集で載せるのもアリだけど。ショーはどうだ?」
「ショー?」
ファッションショーなら、現役の時に何度も出ていたから経験はあるし慣れてはいる。それでも、あれから何年も経っていてできるものだろうか。
「あぁ。5月にさ、メンズコレクションがあるんだ。お前も出てただろ?あれもウチが関わってるし、出てみないか?」
「あぁ…でも、俺にまたできるかな…」
柄にもなく、臆病風が吹いてしまう。
「大丈夫。お前ならやれる。前を思い出してやってみろよ。俺もバックアップするから」
「分かった。やってみようかな……。でも、親父が何て言うか……」
もうモデルは辞めた。今さらまたやりたいと言ったところで、否定されないわけがない。
「聞いてみろよ。きっと、分かってくれるはずだ」
「そうかな……」
真那人は体を丸めて小さくなり、周防にピタリと寄り添った。
「あぁ」
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