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第45話
「そうだ。ただし、一度だけだぞ。二度は許さん。済んだら、ちゃんとKSグループに集中しろ」
「分かりました。……あと、雑誌でもファッションショーでも?」
「あぁ。好きにしろ」
一度だけと言われたが、今の自分のモデルとしての可能性を試したかった。
「ありがとうございます、父さん」
「やるなら、後悔のないようにしろ」
いつもは眉間にシワを寄せているような父親だが、この時は少し頬が緩んでいるように見えた。
「それは良かったな!俺も心配してたから、安心したよ」
後日、真那人は周防の家に行き、モデルの許しが出たことを報告した。すると、周防も一緒に喜んでくれたので、真那人も嬉しかった。
「サンキュ。まぁ、1度だけって釘刺されたけどな」
「ショーに出たいんだろ?早く準備に入らないとな」
「まだ早いんじゃねぇの?」
「まぁな。でも、お前がより一層輝くように企画しなきゃだからな」
そう言って、周防はソファーで隣に座る真那人の頬に不意打ちでキスをした。
「ありがと。俺も楽しみにしてるよ」
真那人は周防の肩に頭を載せた。
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