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第47話
「お前、今の部署から異動しろ」
「え?」
「仕事以外でも会っているんだろうが、接触回数も減らせるだろう」
「ちょっ……」
真那人が反論しようとしたら、父親は続けた。
「あぁ、そうだ。携帯電話持っていたら出せ」
「なぜ?」
「相手の連絡先を消すんだ。今ここでな」
真那人の顔はサーっと青ざめた。
「さぁ、早くしろ。私は忙しいんだ」
有無を言わさない威圧感に、従う他なかった。
真那人はズボンのポケットに入っていた携帯電話を取り出し、ほぼ自棄くそに操作した。
こんなに、人のことで泣きたくなったのは初めてだった。父親と、自分の出自や境遇が憎らしい。
「さぁ消しましたよ。これで、満足ですか」
目の前が真っ暗になる。壊れそうな心で、感情を押し殺した声で告げた。
ついこの前、周防と気持ちがやっと繋がったばかり。モデルをやれることも決まり気分も上向いていたのに……。
一気に奈落に突き落とされたようだ。
周防がいなければ、意味はない。
「そうか。男に現を抜かしてないで、将来を見据えろ。モデルの件も、取りやめてもいいんだぞ」
「ちょっ……それは約束じゃないですか!」
真那人は思わず声を荒げた。
「まぁ、お前の行動次第だな」
「え?」
今度は何を言われるのかと、身構えてしまう。
「明日から、お前に監視を付けることにする。下手に動くなよ。相手に会うことは当然許さん」
地べたに、膝から崩れ落ちそうになる。
周防に、会えなくなる…。
そのことが真那人に現実に重くのしかかってきた。
「なんで……そこまで……」
立っているのがやっとの状態で、体が打ち震える。
「こうでもせんと、お前が目を覚まさないからな。あぁ、家に来るか?そうすれば、私が監視できるな」
「好きにするって言ったじゃないですか!絶対に行きません!」
真那人は叫び、その場から走り去った。
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