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第70話
「改めまして、周防洋二といいます。現在、モデル事務所の社長をしています」
居間のソファーに座り、周防が挨拶をした。
「真那人の母です。どうぞよろしくね。凄いわね、若いのに社長なんて」
「いえ、とんでもないです。精一杯やってきただけですし、立ち上げてまだ数年なのでこれからです」
周防は照れからなのか、頭をポリポリと掻いた。
「結構大きなイベントも手掛けてんだ。ほら、俺が出たこの間のショーも、関わってるんだ」
「あら、そうなの?凄いわね」
「あぁ。周防さん、実は鳳来コーポレーションの息子だからさ……」
周防が鳳来コーポレーションの関連なのもあって、設立してそう経っていない事務所ながら大きなイベントに関わることができたのだ。
周防の身分については、明かそうと周防ともあらかじめ話していた。
「え、そうなの?」
母親は大いに驚いたようだ。
「二人は、どうやって知り合ったの?」
「まぁ、最初は周防さんがモデルやらないかって声かけてくれたんだ。周防さん、俺が前いた事務所にいたから」
「あら、あの時に?」
母親の脳裏にも、真那人がモデルをやると言った時のことが蘇ってくる。
「あぁ。でもそん時以来ずっと会ってなくて、俺が見合いした相手の兄だったのが周防さんで、声かけてきたんだよ。またな」
「不思議な縁なのね。で、あなたたちはどういった関係なの?お友達?」
母親は悪気ない様子で聞いてきた。通常の友達と考えていて、紹介したい人がいると言って連れてきた周防を”男の恋人”だとは全く思っていないのかもしれない。それとも、何か勘付いているのか。
「俺たち、付き合ってんだ」
隣の周防もコクリと頷く。
母親は一瞬目を丸くしたものの、直ぐに柔らかな笑顔を見せた。きっと、酷く驚いたに違いない。
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