止まらなかった。覆い被さった俺は、木ノ下さんの口へかぶりつく。キスみたいな生易しいものではない。獣が獣を襲うような野性的な勢いだ。 舌が木ノ下さんを追いかける。あの木ノ下さんですら引き気味なのが伝わってきた。 なりふり構っていられず夢中で吸い付く。 （あぁぁ。こうしていないと壊れてしまいそう） 暴走した俺の腰をぐいと寄せ、組み敷かれていた木ノ下さんが徐々に身体を起こす。それでも口は繋がったまま。 ようやく、くちゅ、くちゅと唾液の音を聞けるまでには、少しの余裕が戻ってきた。 柔らかい舌を味わう。絡みついた生暖かいものは、まるで生き物のように互いを求めていた。 「…………ちょ、ちょっと待て。落ち着けって」 「………………はぁ、はぁ、はぁ……」 木ノ下さんが、ポンポンと俺の背中を撫でる。 「意地を張らず、素直になればいいのに」 「…………だって、木ノ下さん忙しいし、疲れてるから、迷惑を掛けられないって……」 「お前はそればっかだな。偶には自分を優先しろって」 「…………いいの？」 「いいに決まってる。ほら、何して欲しいんだ」 黒柿色の瞳がじっと俺を見る。 「言わなきゃいけない……？」 「具体的に示してもらわないと、俺も分からないかな」 嘘だ。木ノ下さんは、俺のイイトコロをほとんど知ってる。尻尾を散々弄り回しているではないか。敢えて口に出さなくてもいいのに、このおっさんは俺に言わせたがっている。 （意地悪な変態だ……） モジモジしてる俺の股間を木ノ下さんがピンっと弾いた。 「あんっ」 「さっきから、俺の膝にぐりぐりこすりつけて。やらしい腰つきだ。どこ触って欲しいの」 「……………………お、お、お……ちん、ちん……と」 「他は？」 「…………あと…………おしり、も。木ノ下さんのが、ほしい…………です」 背に腹はかえられない。俺は正直に告白した。股間だけでなく、後孔もかなり熱くなっていたのだ。 「ん。わかった。見せて」 え、見せる？？ 一瞬パニックになった俺の服を素早い動作で木ノ下さんが剥ぎ取った。 どうやら夢中で木ノ下さんを襲った時、キスをしながら射精していたらしい。恥ずかしながらドロドロのパンツを隅へ寄せた。 「本当に赤くなってる。ちょっと痛そう」 性器はいつもよりぷっくりと赤みを帯び、熱も持っていた。さっき出したばかりなのに、もう固くなってきている。触られたら再び射精してしまいそうだった。 「痛くは、ないです。むずむずします…………え、ぁ、ぁ、だめ……きたない、からぁ、ぁん、ぁぁ……や、ん、ぁぁぁ、あんっ、やだぁ……」 興味深そうに股間を見ていた木ノ下さんが、いきなり咥えたのだ。 口内はとても暖かい。興奮した性器が彼の柔らかな舌で落ち着くように嗜められているみたいだ。逃げようにも腰をがっちり両手で固定されている。下半身になんとも言えない快感が広がる。 「……ぁ、ぁ、ぁっ……きもち、いい……ぁんっ……出ちゃ……ん、出る、は、はぁ……んんんっっ……」 あまりの気持ち良さに腰が勝手に動いていた。木ノ下さんの濡れ髪へ手を突っ込んで吐精した時、後ろから尻尾が現れた。