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第10話 変化【木ノ下と眞那斗】

「まだ俺がイッてないから」の理由で、風呂場で2回、ベッドでは覚えていないくらい交わった。木ノ下さんのデカい息子が何度も何度も出入りを繰り返し、途中お尻がバカになっちゃうかもって不安になるも、最後のほうは朦朧としてあまり覚えていない。 ただ、普段はあまりない性欲というものが、枯れることはなく、貪欲に木ノ下さんを求めていた。 起きたら、夜だった。 (ええ……と、昨日の夜に木ノ下さんと沢山シて、たぶん明け方に寝落ちしたと思う。それからずっと寝てたっぽい) お尻がジンジンする。身体が怠い。尻尾や耳といった狐化も治まっていた。 発情期なんて嘘だったのかもしれないと思えるくらい熱が去った。木ノ下さんが全部受け止めてくれたらしい。 誰もいないことを確認し、こっそり後孔へ手を這わせてみた。純粋に壊れていないか心配だったのだ。 (柔らかいけど、ちゃんとある。穴として存在してる。良かった) ホッとする。 もしかしたら木ノ下さんが帰宅してるかもしれない。部屋着に着替えた俺はリビングへ向かった。 やっぱり。仕事帰りの背中を見つけることが出来た。心なしか疲れているように見える。 そりゃそうだ。昨日は俺に付き合って明け方まで相手してたんだから、圧倒的に寝不足だろう。 「おかえりなさい。あ、おはようございます。こんばんは、の方がいいかな。寝すぎちゃいました。昨晩はお世話になりました」 「お前はどんだけ寝るんだ。田口に何度か様子を見に行ってもらっても『死んだように寝てる』しか言わないから、もう起きないのかと思った」 「身体がついていかないみたいで……」 まだ寝ていられる予感すらする。 「晩御飯、食べましたか?」 「いいや」 「田口さんが持ってきてくれた惣菜と、ちょっと何か準備しますね。風呂へ入ってきてください」 「ああ」 実は俺もものすごく腹が空いている。 惣菜を皿に移して温めて、炊飯器からご飯をよそった。インスタントの汁物と、冷蔵庫から食べられそうなものを出して並べる。 田口さんは本当に何度も来たらしく、色々なお土産が置いてある。後でお礼を伝えなければならない。 間もなく、風呂から上がってきた木ノ下さんとテーブルへついた。今日はとても落ち着いている。 「身体は大丈夫なのか?」 「はい。前と変わらない感じです。熱も引きました」 「風呂場でゲリラ的に襲われるのは勘弁な。ちゃんと準備してからじゃないと危ない」 「…………あ、はい…………すみません」 謝っても謝っても、顔から火が出そうだ。どこから見ても俺は破廉恥である。 「狛崎が恥ずかしくて誘えないのなら、何か合図を作ろうか。yesとかnoとか書いてある枕をベッドに置いておくとかどうだ?田口の案だが」 「た、田口さん、も知ってるんですか!!」 「当たり前じゃないか。あいつが1番心配してる」 「ええと、あの……その……」 「心配しなくても、夜通しやったとか、お前が何度も何度も泣きながら強請ってきたとかは言ってない」 「ひぃっ、そういう問題じゃなくて」 違う。プレイの内容では無い。俺が木ノ下さんとやりたくて、上手く誘えないから困っていると知られてしまったじゃないか。 一体人間社会でどんだけ恥をかけばいいんだよ。淫乱と思われているに違いない。田口さんとどんな顔して会えばいいんだ。 「次はちゃんと言いますから!!言わせてください」 「ははは、お前のそういうとこ好きだよ」 「!!!!!!」 『帰宅が遅いとすれ違いになるから、余計心配になるんだ』と木ノ下さんは笑う。 俺は甘やかされてる。木ノ下さんの優しい笑顔で蕩けそうになった。

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