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第6話君に拾われた日から
「それで妹さんは見つかったのか?」
「全く行方が分からず、リーダーは焦ってます。もう可能な場所は探し尽くしました。自ら居なくなる子じゃないんです。誘拐かもしれない」
「……俺は先週拾ってきた奴が怪しいと思ってます。お願いです。人の命がかかってるんです。確認してもらえませんか。あいつ……七瀬さんの部屋にずっと居ますよね」
ずい、と拓が前へ出てきた。2人して正義感に満ち溢れた表情で俺を睨む。
「分かった。一応落ち着け」
「「お願いします!!」」
「もし妹さんの行方が分かったら、赤毛に用は無くなるのか?『重罪』を犯したと聞いているが」
「それは…………」
もごもごとレンが口ごもった。
「赤毛はカネも盗んでます。無罪放免とはいきません」
「仮にもあいつがお前達が探している『赤毛』だった場合、酷い目に合わされるのを知っていて引き渡すのは気が引けるよ」
「七瀬さんは悪いやつを庇うんですか?」
「だってうちに害がないでしょ」
「悪いやつには変わりないです!!」
それに北のリーダーは良い噂を聞かない。赤毛の重罪も真相は分からないのだ。双方の話を聞いて判断するような余裕も時間も持ち合わせていない。
だが、非常にきな臭い。
「拓。仲間やお前自身を傷つけた訳じゃないんだ。憶測で物事を判断するな」
「………………すみません」
「今から奴を尋問する。お前達は暫く外にいろ。終わったら呼ぶ」
「立ち会わせて貰えませんか」
「俺もっ」
普段は大人しく俺の言うことをきく拓も、レンの前だとそうはいかないようでぐいぐい前へ来る。へこたれない。
「駄目だ。従わないなら俺は協力しない」
揶揄いではないと、拓が1番分かっている。俺がやらないと宣言したことは、嘘でも冗談でもなく絶対にやらない。
「………………分かり、ました」
険しい表情の拓はレンと共に部屋を後にした。
「さてと。話は聞いていたよね?詳しく教えて貰おうか。赤毛くん」
「…………………………」
さっきからドア越しで様子を伺っているのには気付いていた。
パーカーのフードを深く被った赤毛が姿を現す。隙間から見える赤は燃えるよう鮮やかであった。
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