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26.湯けむりで目隠し 17

えっと……。 ……コンドームってどこにあるんだ? 見当もつかずにしばらく探しているとスキンケア用品が並ぶところに3種類ほど箱が並んでいるのを見つけた。 薄いやつ……薄いやつ……って、手に取るのも恥ずかしいので遠めに観察していたけど、いちいち薄さなんて見えるところに書いてないじゃないか。 やっぱ1つずつ手にとって見なきゃダメなのか? そう思ってあきらめかけたときに箱の外側に0.02と表示された箱を発見した。 なんて分かり易くて良いパッケージデザインなんだ! よかった。これで棚から取り出す作業が最低限で済む。 そんなことを考えながら、さすがにコンドームだけ買うのはヤる気満々みたいで恥ずかしいので、適当におやつやらジュースなんかをかごに入れてその中にさりげなくコンドームの箱を入れてレジに持っていく作戦に出るも、こういうときに限ってレジには若い女の子しかいないし、もう泣きそう。 でも、大丈夫だ。コンビニでコンドームを買うなんて今時珍しいことじゃないし……。 …………って思うけどレジを通す瞬間はやっぱりめちゃくちゃ恥ずかしかった。 レジの女の子は淡々と作業してるけど、それが逆に居た堪れない。 そんな感じで会計を済ませて、心身ともにぼろぼろになって帰ってくると東海林は腹を抱えて笑っていた。 「なんだよ! これで満足か!!」 「あーマジでウケる。レジの子も思ったかもな。あーこれからヤるんだなーってさ。でも本当はそんな予定もないただの童貞なのにな」 「うるせーうるせーうるせー」 すると東海林はコンビニ袋を取り上げ、中から買ってきたコンドームの箱をおもむろに開けて中身を取り出した。 「お、おい何してんだよ」 東海林は6枚入りの半分を切り取ると自分の浴衣の袂に入れ、もう半分は箱に戻して俺の浴衣の懐に押し込む。 「な、なにすんだよ」 「千秋が買ったわけだし。そっちはお前の分、つける練習にでも使えば?」 「はぁ⁉︎ いらねぇし」 「まぁ、もらっておけよ。いざ女の子の前でトチったら格好悪いぜ」 「そ、そんなことねーし。トチんねーし」 「吠えれば吠えるほどみっともないな」 「なんだと!」 またバカにされたのが悔しくて噛みつくように言い返すと東海林はまた不適な笑みを浮かべた。

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