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26.湯けむりで目隠し 45

友達がいるって良いことだし、その友達が心を開ける相手なのだって良いことのはずなのに、って思えば思うほど無意識に自分と東海林を比べてしまう。 東海林は頭もいいし、修平と同じ大学だし、学部も同じだから共通の話題も多いしきっと話だって合うはずだ。 それに比べて俺は比べられないくらい馬鹿だし、大学違うし、学部も違うから同じ話題って少ないし、家事はまかせっきりだし、何も出来ないし、素直じゃないし、天邪鬼だし、うざいし、女々しいし……。 考えれば考えるほどにヘコんできた。 俺って全然、取り柄とかねぇじゃん。 もしかしたら修平が俺だけに優しいとか思ってるのも、気のせいだったりして。 なんか今まで感じてきたことが、少しの力でガラガラと崩れてしまいそうで怖くなる。 昨日まであんなに幸せを感じていたのに、実は長い夢だったりして……って俺は乙女か! でも、心ってものは常に微妙なバランスで平衡を保っているのかもしれない。 それに、俺は修平にだいぶ寄りかかってたことに気がついた。 “東海林と笑いあっていた”たったそれだけのことで、こんなにネガティブになるなんて、俺ってめちゃくちゃ小さいやつだな。女々しいのは前から知ってたけど、器も小さいんだ。 はぁーっと大きなため息が漏れると、ポンと俺の肩を航が軽く叩いた。 「大丈夫。修平くんは悪いやつじゃない」 それは知ってる。知ってるけど。 わかってる。かってるんだけど…………。 モヤモヤした気持ちはその後部屋に戻って普通に椅子に座って話をしていた修平と東海林を見ても、めちゃめちゃ旨い豪華な朝食を食っても、帰る前に紅葉の中を上っていくロープウェーに乗っても。 修平と2人の部屋に帰ってきても。 モヤモヤ自体は小さくなったものの、何故か完全に晴れることはなかった。

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