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27.水面にひとつ 2
急にそんなことを言うから顔に出てしまったことが恥ずかしくて目をそらす。
「なんだよ! 人を安眠枕みたいに言いやがって」
「僕にとってはどんな高級枕も敵わないな」
「なんだそれ」
「安心して眠れるってこと。一緒のベッドに入ってなくても同じ空間にいるだけで安心できる」
「……その為に日帰りとか、どんだけだよ」
いつもの如く修平が喋っているうちに恥ずかしさに耐えられなくなってコーヒーを飲んだ。
するとそれを見て修平もクスクス笑いながらコーヒーを口にする。
これは話題を変えないと俺が耐えられねぇ。
「あ、そうだ! 修平はさ、就職とかってどうするんだ?」
「いきなりどうしたの?」
「いや、来年は3年じゃん。就活も本格的に忙しくなるのかなっと思って。なんか大学の友達の後輩はまだ1年なのにもう色々と考えてるとかで、そんなん聞いたら焦ってきてさ」
「1年から? それは凄いな。でも、千秋だって焦ることないよ。大丈夫、きっと良いところに出会える」
サークルの友達の後輩の話を聞いて焦り始めていた俺だけど、修平があまりにも自信満々に俺のことを言うものだから少しおかしくなって笑ってしまう。
「お前、俺のことなのに凄い自信だな」
「千秋のことだから自信があるんだ」
「はぁ? お前バカじゃねぇの」
「千秋は大丈夫。僕が保証する」
「なんだよそれ。買い被りだって」
そう言って恥ずかしいのが嫌で話題を変えたのに結局恥ずかしい事態になって視線を外したけど、修平は優しく笑っていて内心はすごく嬉しかった。
修平に甘やかされるのは照れるから嫌なんだけど、やっぱり心地ちよくて。
それから修平のスーツ姿なんかも想像してしまったりして。
「なぁ、修平はどんな一流企業に就職するんだろうな」
「一流企業って千秋こそ僕を買い被りすぎだよ」
そう言って目を細めた修平を見ながら、一流企業に就職した修平を想像した。
高そうなスーツに身を包み颯爽と仕事をするんだろうなと思った。
その時、俺はどんな職業についてるんだろうか。
「買い被ってなんかねぇよ。でも……就職しても、い……一緒に住もうな」
めちゃくちゃ勇気を出して言うと、修平は少し驚いた顔をしていたが微笑んでゆっくりと頷いてくれたんだ。
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