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27.水面にひとつ 17

─────… ──── 深い眠りに入りかけた頃、肩を揺らされる振動で眠りから覚めてしまった。 誰かが俺の肩を揺すってる。 せっかく気持ちよく寝てたのに、また航が何かしたのかと思って目を擦りながらゆっくりと開けた。 「なんだよ、航……まだ眠いんだけ、ど…………って、えぇ──!?」 俺の驚いた声があまりにもデカかったようで、ソファで寝ていた航までも驚いて飛び起きた。 「な、何!? 何事!?」 そして飛び起きた航も俺と同じように目を丸くしながら目の前の人を呆然と見ている。 なんで? なんでここにいるんだ? 「お…お前、なんで? ……合宿はどうした」 すると静かに声が響いた。 「……家族が大変だと言って帰らせてもらった」 突然、合宿から帰ってきた修平は、荷物を置いてリビングの電気をつけに行く。 カーテンの隙間から見える外の景色はまだうす暗く、何時なんだろうって思った時に電気がついて部屋が明るくなった。 「帰らせてもらったって……また、そんなこと……ハクション」 「今は冬だよ。床なんかで寝てるからくしゃみが出るんだ」 鼻水を拭いながらいつもよりトーンの低い声で呟くように言う修平を見上げると、修平は冷たい目で俺のことを見ていた。 ……なんでそんな目で見られなきゃいけないんだ。 「な、何で帰ってきたんだよ」 「帰ってこられちゃまずかったわけ?」 はぁ? なんだよその言い方。修平のやつめちゃくちゃ機嫌悪い。 すると、修平は今までで一番冷たくて鋭い目つきで航の方を見た。 そして一応、口元とかは笑っているつもりなのかもしれないけど、明らかに怒った様子のまま低い声で航に話しかける。 「航くん。千秋に話があるから帰ってもらっても、いいかな?」 「う、うん……でも、片付け……」 おどおどした様子の航が空き缶に手を伸ばそうとした瞬間、それを修平が遮るように取るとにっこり笑った。 「僕がやるからいいよ」 でも、目が笑ってない。 目が笑ってないから。 そんな氷のような笑顔を向けられて航は青ざめ、多分二日酔いでフラフラだったのに急いで荷物をまとめてヨロヨロしながら帰っていった。 「あんな追い出し方ないだろ?」 「風呂にでも入れてやればよかったか?」 「前はそうしてたじゃん」 「僕はそんなに優しい人間じゃないよ」 なんだか言葉が刺々しい。 吐き捨てるような言い方の修平にもだんだん苛々してくる。 せっかく送り出したのに、また勝手な理由つけて帰ってきたことも少しムカついていたからだ。

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