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28.長いながい一日 6
どれくらい時間が経ったのだろう…───。
最後の記憶は横になっても気持ち悪いくらいに目の前がぐるぐる回るような感覚。
すごく不安で、苦しくて、意識が途切れる直前に会いたいって思ったのは、……修平だった。
自分で壊してしまったのに、あんなに酷いこと言ってしまって合わせる顔もないのに、やっぱりそれが俺の本音で、だからこそ自分の行動が悔やまれて、ただただ修平に会いたいって強く思った。
今度こそ会えたなら、まず絶対に謝りたいって。
──そんな時。
「千秋……千秋……」
遠くから自分のことを呼ぶ声が聞こえてくる。
俺のことを心配するような、様子を窺うようなそれは、修平の声に聞こえた。
まだっさっきの玉子酒の影響か、それとも風邪のせいなのかはわからないけど体はふわふわしていて、それに音は水の中にいる時みたいに少し反響して聞こえる気がした。
でもぼんやりした俺の頭に響くその声は今、一番会いたい人の声をしていて……修平が来てくれたんだと思った。
「しゅうへぇ……」
夢なのか現実なのかわからないくらい視界もぼんやりしててよく見えないけど、修平がそこにいるのならと名前を呼びながら重く感じる手を伸ばす。するとその手を握られて優しく抱きしめられた。
……温もりに触れられた。現実だ。
そこには確実に伝わる熱があって、本当に修平が迎えに来てくれたんだと思って凄く嬉しくなった。
そして、嬉しさと同時に何もかも俺が悪くていいから、ただ許して欲しいと謝りたい気持ちが沸き上がってくる。
「千秋、大丈夫?」
そう優しい声が響き、頬や頭を撫でられ、また抱き寄せられたら嬉しくてなんか泣きそうで、だから今度こそちゃんと謝らないといけないと思い体を少し離して修平を見上げた。
「修平、ごめ……」
でも、謝ろうとした矢先に、その言葉はキスで塞がれてしまう。
「ん……っ」
実際キスするのはそんなに久しぶりでもないのに、色々あったから長い間してなかったような気がして、その柔らかな感触に胸は締め付けられてうっかり涙が出そうになったから、見られないようにぎゅっと修平に抱きついた。
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