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29.俺たちの約束 4

こうやって並んで食事出来ることがただ嬉しくて、自然にもっと食べたいって思っているうちに、どんどん食べて結局はほぼ完食してしまった。 腹がいっぱいになってソファにもたれていると食器類をキッチンに運んだ修平が戻ってくる。 「腹いっぱい、幸せ~」 「良かったね」 すると修平は自分の部屋に向かいラッピングされた箱を持って俺の隣に座った。 「誕生日おめでとう」 改めてそう言ってその箱を俺に手渡した。 「ありがとう。あけていい?」 「もちろん」 ラッピングを丁寧に剥がして、ゆっくりと蓋を開けてみると、中には腕時計が入っていた。 シンプルなメタルバンドの腕時計で、文字盤が黒地ってとこがお洒落で格好いい。 一目で気に入った。 「これカッコいい」 「気に入ってくれた?」 「うん!」 「良かった。これからもね、千秋と一緒に時間を刻んで行きたいと思ったから腕時計にしたんだ」 修平があまりにも嬉しそうに笑って言うものだから、思わず顔が赤くなってしまう。 こんな格好いいやつと付き合ってるってだけで最高なのに、めちゃくちゃ愛されてるんだなぁって思って、とても幸せだと思った。だから余計に修平の言葉はむずがゆい。 「つけてあげる」 修平は箱の中から時計を取り出すと、俺の腕を引き寄せてつけてくれた。 そして俺の腕に光る時計を見つめて満足そうに笑う。 「うん。似合ってる」 「ありがとう。俺、これずっとつける!」 修平に見せるようにして笑えば、修平の腕が伸びてきて俺のことをギュッと抱き寄せた。 「修平?」 そして修平は、落ち着いた声で俺に言ったんだ。 「今日はゆっくりと話をしようか」 そういうとまた修平は自室に向かい、今度は大きめの箱を手にして戻ってきた。 ゆっくりと……、そうだよな。昨日は途中で寝てしまったし、まだ聞きたいこともあるし。 でも、なんか改まってだとやっぱちょっと怖いな。どんなこと言われるんだろう。 そんなことを考えていると、修平が俺に体を向けるように座りなおした。 「千秋にね、将来の話をしたい」 「……しょ、将来!?」 「そんなに硬くならなくても大丈夫だよ」 そう言ってクスっと笑うと修平は話を続けた。 「僕ね、大学を卒業したら大学院に進もうと思ってる」 大学院。あ……その将来の話か。 何の話なんだろうとドキドキしていたが、大学院の話を俺にもしてくれるのだわかり、俺も修平の方を向くように座りなおして話を聞くことにした。

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