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29.俺たちの約束 15
なんだか体が熱くなってきて、今度は気付けば自分からキスをしてしまっていた。
修平はまた驚いた顔をしてたけど、そしたらまた気持ちが溢れ出してしまって、抑えきれない。
そして、伝えたくなる。
「……修平」
「何?」
「すげー好き……めちゃめちゃ好き。すんげー好き。大好き」
そう言って修平の首筋に顔を埋めた。
そして内側から湧き出す修平への気持ちからか、その首筋をかぷっと噛んでしまう。
軽い歯形が付いたら、修平はまた笑ってた。
「なんか今日は特に千秋が積極的」
そんなのは自分が一番よくわかってる。でも返事をすることなくそのまま何回かかぷかぷと修平の首筋を甘噛みしていると修平はクスクスと笑っていた。
「僕、食べられちゃうの? でも、千秋になら食べられてもいいかなぁ」
そんなことを言われて、思わず俺も食べられたい……とか、ふと口に出そうになったけどかぶりを振った。
さすがにそんなことは言えないけど、修平に触られたい欲求はどんどん増してくる。
でも今日に限って修平はそんな素振りをみせないから言い出すのはやっぱ少し恥ずかしい。
それでも……、恥ずかしくても今日は特別な日だから。
ええい! これも結婚記念だ!!
ぎゅっと握りしめていた手を緩めてチラッと修平の顔を見ながら呟くように言ってみた。
「なぁ、修平……。結婚したら、次は新婚初夜……だよ…な?」
勇気を出して言ったのに、ニヤリと笑った修平はいつも以上に意地悪そうな顔をしていた。
「初夜って、まだ夕方だよ?」
な! なんだよ! 1日中してるときもあるくせに、なにがまだ夕方だよ? だ!!
ムッとして眉間にしわを寄せるとまた修平がクスリと笑う。
「そんな顔して。千秋は我慢できないの?」
我慢できないから言ったのに。
だから今度は修平の首筋から耳まで舐めあげて、耳朶にかぷっと噛みつくと耳の穴を舐めた。
「千秋、エロいね」
「う、うっせー……」
「そんなに僕、美味しい?」
余裕ぶった笑顔で腹が立ったけど、俺は夢中になって修平の首やら耳やらを舐めたり噛んだりしながら、うんと頷いた。
クスクス笑っている修平がムカつくけど、修平の頭を抱えながら耳に舌を這わせているとその腕ごとを引っ張られる。
「ちーあーきー」
修平が甘えるような声を出したかと思えば、引き寄せられるままキスされた。
それは啄むような軽いキスで、その唇はすぐに離れる。そして目が合った。
「今夜は長い夜になると思うよ」
修平は満足そうに微笑んでいた。
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