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30.それは宝物 12

多分、今俺はめちゃくちゃ赤い顔をしていると思う。 なんだよ。改めて言ったりするんじゃねぇよ。そういうのは空気読んで聞き流せよ! 「あ、あれは咄嗟のことだし」 「咄嗟こそ本音なんだよ。僕は幸せ者だと思った。だから僕も、千秋をもっと幸せにするからね」 「お前、言うことがいちいちクサイ」 「千秋だからだよ」 だからそういうとこがクサイって言ってるんだ。 恥ずかしさに耐えかねて顔を背けたら修平の笑い声が聞こえてきたけど、横目でこっそりと修平のことを見ながら、こんなに愛されていることって本当に幸せで奇跡的なことだと思った。 俺はなかなか素直になれないけど、本当は修平の望むことなら何でもしてやりたいって思ってるんだ。 すごく恥ずかしいんだけど、もう少しだけ素直になろう。 ……せっかくの新婚ってやつなんだから。 「な、なぁ……お前さ、なんか俺に……してほしいこととか、ある?」 すると修平はベッドサイドのチェストの引き出しに婚姻届をしまうと、ごろんと転がるようにして俺のことを抱きしめてきた。 「千秋の新婚キャンペーンはいつまで続くの?」 「は? 新婚キャンペーン!? なんだそれ」 「うん? 今は千秋が僕に素直に甘えてくれるキャンペーン中なんでしょ?」 フフフと笑いながら修平は啄むような軽いキスを俺の唇に落とした。 「なんだよ! たまには素直なのだっていいじゃねぇか」 「悪いとは言ってないよ。僕はむしろずっと素直に甘えてくれてもいいんだけど。千秋が大好きだからさ」 「お前は、素直すぎるんだよ」 するとまた修平は目を細めながらクスクスと笑った。 「お前のそういうとこ、ムカつく……」 「そう? じゃあ、結婚やめる?」 「…………やめない」 「良かった。僕もやめたくないし」 クスリと笑いながら言うさまにまたムカついたので、ここは見てろよ! って修平のことを見下ろすように組み敷いた。 「あれ? 千秋に襲われる?」 「そんな余裕ぶっこいてられるのも今のうちだぞ。俺がいつまでも童貞だと思うなよ?」 修平はまだ余裕顔で笑っていたので俺は唇を押し付けるようなキスをした。 俺の今世紀最大のエロいキスだ。 どうだ、参ったか! とばかりに修平の口内を存分に舐めまわし、舌を絡めまくって満足して唇を離した俺は勝ち誇った顔で修平を見下ろしながら言った。 「修平、今日は何もすんじゃねぇぞ」 「そんな約束、出来るかな?」 「出来るかな? ……じゃねぇよ! やれよ!!」 俺があんなエロいをキスしたのにもかかわらず懲りない修平は、返事をしない代わりに俺の首に腕を絡めて引き寄せて唇を塞いできた。

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