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30.それは宝物 13
「んっ……ッ……」
こいつという奴は!
今日は俺がやるから何もするなと言ったばかりなのに、深く角度を変えて舌を俺の口内へと滑り込ませてくる。
「ん…しゅう、へ……この……ッん」
修平の舌は俺の口内を撫でるように動き、俺の舌を捕らえるとねっとり唾液を纏わせながら絡まってきた。
今日は俺が! って言ってやりたいのにその言葉もろとも飲み込まれ、漏れ出る吐息すらも飲み込まれるような熱いキスに体がどんどん火照っていく。
その熱は体の奥から快感を強請るようにゾクゾクと湧き上がって、その熱いキスに頭の中はどんどん真っ白になっていった。
「……っ…ん、は…ぁっ」
繰り返す舌の絡み合いに目眩がした頃、ようやく修平の唇が離れた。
それでも抱き寄せられた体が離れることはなく、二人の隙間に繋がった唾液を舐めとりながら熱のこもった目で修平が見つめてくる。
「千秋、大好きだよ」
本当に修平はズルいんだ。
こんな風に愛おしそうな目をされて、好きだなんて言われて墜ちないやつなんていない。
その度に感じる。
俺は修平に敵わないって。
そして同時に体の奥からゾクゾク沸きあがる熱をどうにかしたくて、頭の中には1つしか答えが浮かばなくなってしまうんだ。
──俺は、修平に抱かれたい。
男だから抱きたいっていうか、主導権を握りたいっていうか、そう思うこともあるし今日みたいに突拍子もなく思うこともあるけれど、結果的にはいつも修平に抱かれたいと願ってしまう。
それは体の奥底から沸き起こってきて、自分だけではどうしようもない感情で、修平に見つめられるだけで熱くなる。これは……。
こんなにした、修平のせいだ……。
「修平……お前、ズルイ」
「何が?」
「だってズルイじゃん。俺のいろんな初めてばっかりかっさらっていきやがって」
修平は違うかもしれないけど……、俺は付き合ったのだって、キスだって……セックスだって、全部修平が初めてなんだ。
こんなに愛されることも、その喜びも何もかも。修平がいなかったら知らなかったことかもしれない。
だから余計にズルイ。
全部お前が俺に教えたんだから、お前のキスで俺がこうなることだってわかってるはずじゃんか。
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