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30.それは宝物 22

でも俺の心配をよそに「え? 何が?」と、修平は首を傾げたけど、何が? じゃねぇ! 「だから! 本当は触られたくないけど俺がやりたいって言ったから、キスマークつけさせてくれたりフェラさせてくれたりしたのか? って聞いてんの!」 それを聞いてきょとんとしていた修平だったけど俺の顔があまりにも青くて悲壮感が漂っていて変だったのか、顔を見るなりクスクスと笑い出した。 何!? 何だよ!! 俺は真剣だっていうのに何で笑うんだよ! って怒ろうとしたとこで、またぎゅっと抱きしめられる。 「違うよ。他の人はありえなかったけど、千秋だけは最初から特別だった。もっと触られたいって思ったのは初めてだったんだ」 「そ、そうか……」 そうハッキリ言ってもらえると、やっぱり嬉しい。 「ちなみに、僕がキスマークを初めて付けたのも千秋だからね。初めて一緒にいたいと思ったもの離したくないって思ったのも千秋だけだから、って話は前にもしたっけ」 そう言って修平は優しく微笑みながら、俺の髪を撫でた。 そして何故か俺たちが高校の頃の話を始めたんだ。 「高校の時。千秋はさ、必ず僕の言ったことの逆をしてただろ?」 「そうだっけか?」 「そうだよ。シャツ出てるって言ったら入れるでもなく全部出してたじゃんか」 「そう……だったか?」 覚えてない風に装ったが、実は覚えてる。 思い出せば出すほど俺ってバカみたいだから忘れた振りをしたんだけど、修平は軽く頷きながら話を進めた。 「それが面白いと思った。表情がコロコロ変わるとこを見て、もっと知りたいと思った」 修平は優しい目で、じっと俺を見ながら話を続けていく。 「最初にキスした日、凄く可愛いと思ったのと同時に手に入れたいと思った」 「と、突然……何だよ?」 修平は俺の言葉を遮るように指を俺の唇に当て、微笑んでそのまま続けた。 「千秋に初めて触れた日からはもう千秋のことしか考えられなくなったよ。だから、千秋が好きって言ってくれた日は泣きたくなるほど嬉しかった。初めて名前を呼んでくれた時も、初めて愛してるって言ってくれた時も、千秋と過ごす全てが僕には宝物なんだ」 俺の唇に当てられてた指が離されると「これが僕の初めての話のほんの一部ね」と修平はにっこり笑って言ったんだ。 そして微笑みながら俺のことを抱きしめ、耳元で優しい声を響かせた。 「だから、僕は千年先も千秋が好きだよ」

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