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1.偶然はいたずら 4
ここは新藤の家だったのか?
つか、なんでマリエちゃんが?
実はもう付き合ってるとか?
色々と頭によぎるけど、それにしては少し様子がおかしい気がした。
あの緊張した顔……もしかして、告白とか⁉︎
俺はちょうどいい場所にあった電柱に隠れて2人の様子を伺っている。
うつむいたまま、小刻みに震えたマリエちゃんが何かを新藤に話していた。
きっと、告白しているに違いない。
くそう。あんなかわいい子から告白なんてされやがって……。
マリエちゃんは特別に可愛い。
告られて断るやつなんていないと思う。
でも、暫く見ていると何か様子が変だ。
新藤が家に入ろうとして、それをマリエちゃんが引き止めるように腕を絡めたのだが新藤はそれを払った。
そして、新藤が何か言ったその直後、マリエちゃんが走ってその場を去った。
マリエちゃんは俺のいる方向に向かって走って来たので、とっさに隠れたけど。
そのとき、見えてしまった。
彼女の目に涙がいっぱい溜まって零れ落ちたところを。
いったい、アイツはマリエちゃんに何をしたんだ!?
何を言ったらあぁなるんだ。
そう思ったら新藤に対して怒りが沸々とわいてくる。
怒りが沸くとともに俺は飛び出していた。
「おいっ、新藤!!」
俺の声に反応して新藤はゆっくりと振り返った。
そして表情を崩さず言い放つ。
「何か用か?」
何かじゃねぇだろ!
頭に血が上った俺は、そんな新藤の態度にも怒りが爆発した。
「お前、マリエちゃんに何を言ったんだよ!」
「マリエって誰?」
「はぁ? さっきお前と話してた子だよ! なんで泣かせたんだ!!」
「あぁ、あの子。別に大したことじゃないよ」
新藤は相変わらず澄ました顔をしていて、それもまたムカつく。
「泣くなんて大したことだろうがよ!」
「柏木、うるさいんだけど」
「はぁ?」
俺はマリエちゃんの涙の真相を聞いているのに、うるさいだと?
なんなんだこいつは!
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