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1.偶然はいたずら 5
俺がそうやって顔を真っ赤にさせて怒っているにも関わらず、新藤は家のドアを開けた。
「なんだ? 逃げる気か?」
俺の言葉に、新藤は冷たい目で振り返る。
その目があまりにも冷たくてゾクッとしてしまった。
「逃げる? どうして。玄関先で怒鳴られているとうるさいから、中に入ったら? って言おうとしただけだけど?」
「な、なんで、中に入らねぇといけないんだよ」
「近所迷惑になるから」
そう言って新藤は家の中に入っていってしまった。
「おい、待て! 逃げるな!」
俺も慌てて新藤の家に入る。
こうなったらとことん戦ってやる!
マリエちゃんがどうして泣かなくちゃいけないんだ。
ガツンと言ってやらなきゃ気が済まない!
ドアノブを握り締め中に入ると、玄関先で新藤が立っていた。
「何でそんな剣幕なのかは知らないけど。話なら僕の部屋で聞くから」
そう言って階段を上っていくので俺も後を追う。
新藤の部屋は悔しいが俺の部屋より広かった。
8畳~10畳くらいはあるんじゃないだろうか。
クソー、俺の部屋なんて4畳半なのに。
新藤のくせにナマイキだ。
「何してるの? 座ったら?」
部屋を睨みつけていた俺に、新藤はベッドに腰掛けながら俺に言った。
「はぁ? 座れるかよ。俺はここに談笑しに来たわけじゃねぇんだ」
「そう。で、話って何?」
なんか、こいつのこういった余裕をかもし出す態度が大嫌いだ。
「お前、調子に乗るなよ」
「別に乗ってるつもりないけど」
「じゃ、なんでマリエちゃんを泣かせたんだ」
「彼女が勝手に感情を高ぶらせて泣いただけだ」
「はぁ? 俺はその理由を聞いてるんだ!!」
俺がそう怒鳴ると新藤はベッドから立ち上がった。
立ち上がってまっすぐと冷たい視線が俺に向かってくる。
その視線が刺さるように痛いのは気のせいだろうか。
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