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第2章 忘れさせてくれない 1
──月曜日。
眠りすぎて、だるい。
休みの間は、もう何も考えずに一心不乱に眠った。
フラフラしながら下駄箱に行くと、そこにはマリエちゃんの姿が……。
なんだか元気がないように見えた。
一昨日のことを思い出す。やっぱり、振られたからかな。
俺だって振られたんだけどさ……元気付けてあげたいじゃん。
そうしているとマリエちゃんが振り返った。
「あ、柏木くん……おはよ」
「おはよう。どうしたの? 元気なくない?」
「えっ? そう……かな」
俺ってズルい? 振られたこと知ってて言う俺ってズルいかな。
でもわ、それでもマリエちゃんに取り入りたいんだ。
しかし、そんなときに限って邪魔が入る。
ぎこちないながらも俺と喋っていたマリエちゃんの視線が俺をすり抜けた。
「……あ、新藤くん」
ここでも邪魔をするのかとウンザリした瞬間、新藤の声が聞こえた。
「────千秋」
と、新藤はあろうことか俺のことを下の名前で呼んできた。
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