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2.忘れさせてくれない 4
「君を引き止めるには彼女が必要だったから。あぁ言えばきっと彼女は僕に近寄ってくるよね? そうすれば君も僕と関わらなければいけなくなる」
「なんだよ。マリエちゃんを騙すなんて最低だぞ」
「君も人のこと言える? 振られた心のスキに入ろうとしたくせに」
「うっ……」
見透かされていて、また言い返せない。
そんな俺をみて微笑んだ新藤は階段を上って行く。
本当にわけわかんねぇよ。
俺を好きとか……本気かよ。
俺は呆然としたまま教室に向かい、自分の席に座った。
視界の端っこに新藤の姿が見える。
頭が良くて、スポーツもできて、顔も良い。
背も高くて、女子にもモテる。
そんな新藤が俺を好き───…?
考えれば考えるほどありえねぇんだけど。
いや、嫌がらせの一環だろ。そうに決まっている。
でも、その為にわざわざマリエちゃんに嘘までついて……キスしたり、俺のを舐めるとかさ……。
そうだよ舐めるとか……。
「うっ…………」
……え? 今、俺は自分の体の反応に戸惑っている。
ちょ、ちょっと待ってくれ。
一昨日の出来事が鮮明に思い出された瞬間……。
う、嘘だろ……おい!
もう、勘弁してくれって思った。
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