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3.決戦は甘い賭け 6
俺が走ってマリエちゃんのもとに帰ったとき、そこでは数組の家族連れや子供たちが遊んでいた。
そして俺が席にあと数歩というところで、近くで遊んでいた子供達が勢いよくこけてしまう。
子供は……俺たちのテーブルのほうに倒れてきた。
その刹那。
ガシャーン
ほんの一瞬で起こったその光景を俺はどうする事もできず、呆然と見ているしかできなかった……。
子供はテーブルに激突し、その上に置いてあったものは全て地面に無残にも散らばる。
さっき買ったばかりの飲み物も、マリエちゃんのお弁当も……。
「あ……」
俺は呆然として言葉もなかったが、マリエちゃんはワーワーと騒いでいた。
ハッとして駆けつけるも、結局その子供たちはどこかへ行ってしまい片付けは俺たちがしなくてはならなくなり。
「せっかく作ったのに……」
マリエちゃんは涙混じりに言った。
俺だって泣きたいよ。楽しみにしてたマリエちゃんの弁当が食べられなくなってしまったんだから。
そして更なる衝撃に、俺はもっと泣きそうになる。
片づけをしながら、俺が何か買ってこようかと聞くとマリエちゃんはおにぎり1つ食べたからいいと言った。
そして、新藤も……おにぎりとエビフライなどを食べたらしい。
どうして俺だけ何も食べられなかったんだよ!!
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