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3.決戦は甘い賭け 7
さっきは涙混じりになっていたマリエちゃんだったが、片付けも終わったら少し元気になっていた。
そして今度はコーヒーカップに乗りたいという。
でも、俺はそういう気分ではなくなっていた。
俺のほうが泣きそうだよ。
「俺、回転系はちょっと……2人で行って来なよ」
もうどうでもよくなってきた気がした。
緊張の糸が切れたとでも言うか……。
マリエちゃんと新藤はコーヒーカップに乗りに行ったので、俺は何か買って食べておこうと思っていたとき誰かに肩をたたかれる。
振り向くと新藤がいて、俺に紙袋を手渡した。
「これ食べなよ」
そういうとそのまま行ってしまったのだ。
何だあれ。
お前は良いよな。マリエちゃんの手料理をちゃっかり食ってたんだから。
マリエちゃんも、やっぱり新藤のために作ってきたんだろうな……。
落ちこみながら袋を開けると、中にはマフィンのようなものが入っていた。
実はこう見えて甘党の俺。マフィンは大好物なのだ。
これってどこのマフィンだ?
お店のシールなんかは貼ってないけど……。
ちょっと気になったがおなかの音が鳴り、空腹に耐えられなかった俺はそのマフィンを口にする。
うわ、なにこれ。
めちゃくちゃウマイ!!
今までいろんなマフィンを食べてきたが、これは今までのマフィンの味を余裕で超えてしまうような味だ。
これ、どこのなんだろう? 店が近くなら買いに行きたいくらいだ。
今度、新藤に聞いてみっかな。
さっきまで最悪な気分だったが、好物のマフィンが胃に入って幸せな気分でいると、幸せそうな顔をしたマリエちゃんが帰ってきた。
「コーヒーカップおもしろかったよぉ」
「良かったね。次は何にする?」
それからも俺たちはいろんなアトラクションを回った。
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