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3.決戦は甘い賭け 8

そしてあたりが暗くなり始めたころ。 「お化け屋敷行こうよ!」 マリエちゃんの一言でおばけ屋敷にいくことに。 この遊園地には年中お化け屋敷があるのが特徴だった。 お化け屋敷といえば密着! ということで、デートコースに入れる人も少なくない。 ここは絶対に、マリエちゃんとのペアを勝ち取るぞ!! 「お次、お1名様どうぞ」 …………………………ってオイ! また俺は1人ですか! つか、お化け屋敷に1人で入ったって楽しくもなんともねぇよ! 「柏木く~ん頑張ってね」 しかも、なぜに俺が先!? この2人に見送られるような形になっちゃってんの!? しょうがないので渋々、1人で歩き始めた。 不気味だよな……。 ここは1組ずつ歩いていくシステム。 先に入ったカップルの悲鳴が聞こえてくる。 楽しそうだな。きっと今頃、彼女が抱きついちゃってんだろうな。 俺はゾンビやら包帯男を見ながら思ったのだ。 マリエちゃんもきっと新藤に抱きつくんだろうな。 新藤はマリエちゃんに興味ないだろうけど、抱きつかれて腕にあの隠れ巨乳が当たったりしたら……新藤でもマリエちゃんに行くんじゃねぇの? はぁ……俺、ダメかも。 そう思いながらトボトボ歩いていると、後ろからも悲鳴が聞こえ始めた。 あ、マリエちゃんかな。 新藤に抱きついてんのかな。 いいなぁ。俺も抱きつかれてぇな……。 そう思ったとき、後ろから誰かにガシッと抱きつかれる。 何、ここはオバケが抱きついてくんの!? 「うわっ!!」 思わず、声を上げて恐る恐る振り返ってみると……。 は⁉︎ なんで、新藤?

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