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3.決戦は甘い賭け 9
「何だよ。お前なんでここに居るんだよ」
「僕は千秋と一緒にいたいから」
「答えになってねぇよ。マリエちゃんは?」
「はぐれた振りして来た」
「はぁ? そんなんかわいそうじゃん。女の子はおばけ屋敷とか苦手なんだぞ!」
「彼女は図太そうだから大丈夫でしょ」
新藤は意味のわからないことを言うと、俺の手を引っ張ってどんどん歩いていく。
そして、俺の前に入った怖がっていたカップルも追い越して一目散に出口へと向かった。
「おい! どういうつもりだ」
「このまま、はぐれたことにする」
そう言ってまた強引に手を引き、そのまま歩き始める新藤にイライラが募る。
「意味わかんねぇよ。はぐれたことにするだ? ふざけんな」
「僕はいつでも本気。こんなに人がいるんだからはぐれても不思議じゃない。知り合いに同じ出口で待っていたのに人が多すぎて何時間も会えなかった経験をした人がいる」
「はぁ?」
「いいから黙って着いて来いよ」
そういうと、そのまま新藤はどこかに向かって歩き始めた。
暫くして新藤が歩みを止めた先には観覧車がある。
まさか、こいつは男2人で観覧車に乗ろうとしているのか?
そう思ったとき、新藤の携帯がなった。
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