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3.決戦は甘い賭け 12
新藤はそのまま柔らかく微笑んで俺に尋ねた。
「ねぇ、試してみる気になった?」
「何をだよ」
「男と女を比べてみるって話」
「ぶっ!!」
思わず、噴出してしまったんだけどやっぱり新藤は言うことが変だ。
「比べねぇって何度言ったらわかるんだよ」
「ま、千秋は女のナカも知らないか」
「う、うるせーよ」
そんなことを言うってことは、新藤はどっちの経験もあるのだろうか?
それで、俺にも勧めてるのか?
でも、女には穴があるけど……男が入れるのって、ケツの穴?
あそこって出す穴だろ?
入れられるのかよ。
……どんな感じなんだろう。男のナカも気持ちいいのだろうか。
ってオイ! 俺の思考までおかしくなってきてるじゃねぇか。
俺が黙っていると新藤は観覧車の窓にひじをつきながら視線を流し俺を見た。
「だったら賭けをしないか?」
「何の賭けだよ」
いきなり賭けを持ち出した新藤に対して体が強張る。
こいつはいったい、何を言い出すつもりなんだろうか……。
「千秋は男なんて御免なんだろ?」
「その通りだよ」
「だったら男にキスされてもどうってことないよね?」
「は?」
「僕とキスして千秋が何の反応も示さなければ君の勝ち。僕は諦めるよ。でも、千秋が反応したなら僕の勝ち。千秋を家に連れて帰る」
「なんだそのルールは」
反応しなければ俺の勝ちだと?
俺が二つ返事で了承しなかったことが気に食わなかったのか、新藤は挑発的な目で俺のことを覗き込んできた。
「やらないの?」
「なんでだよ」
「反応しそうで怖いから嫌?」
「ちげーよ」
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