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3.決戦は甘い賭け 13

やれやれと言った顔で新藤が俺を見ている。 そんな顔をしたいのは俺のほうだ。 すると新藤が言った。 「千秋は僕に借りがあるよね? 1度くらい僕の言うことを聞いてくれても良くない?」 「借りって何だよ!」 「まったく、どうして君はそうなんだろうね。彼女とここに来れたのは誰のお陰かな? 僕が一緒じゃなかったら来れなかったよね?」 「…………」 また、俺が言い返せないことを言いやがった。 言い返せずに黙り込んだ俺に向かって新藤は喋りかける。 「10秒キスして何もなければ千秋の勝ち。千秋は僕に勝てばいいだけだよ。僕に興味がないなら簡単なことだよね?」 「10秒?」 「10秒じゃ長いかな? 自信がないなら5秒にする?」 「べ、別に10秒くらいどうって事ない!」 「わかった。じゃあ10秒ね」 し、しまった! 馬鹿にされるのが嫌で思わず返してしまったけど。 なんかこれじゃキスしていいって言ってるみたいじゃないか。 すると新藤の顔が近づいてきた。 「おい、待てよ。ここで!? 誰かに見られる……」 「誰も見てないよ。暗くなってるんだし」 もうすっかり日が沈んで真っ暗になっていたので確かに隣の観覧車の様子はわからない。 でも……。

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