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3.決戦は甘い賭け 15
嘘……。嘘だろ。
なんで勃ってるんだ。
すると、新藤は愉しそうに笑いながら意味深にそこを撫でた。
「ん……さ、触るなっ……」
「こんなに明確に反応しちゃってるから、僕の勝ち」
「そ、そんなはずない」
「自分でもわかってるんだろ? なんなら直に見てやろうか?」
ありえない。
男にキスされて勃つなんて終わってる。
……いや、ちょっと気持ちよかったけど。
でも、勃つほどとは思わなかった。
「これ降りたら、約束通りに家に連れて帰るから」
そう、新藤は耳元で囁くように言ったんだ。
「……お前の家に行くのかよ」
「そうだよ。何? 千秋の家に連れ帰ってくれるの?」
「バカなこと言うな。でも、家の人とか……」
「両親は昨日から2泊3日の温泉旅行に行ってるし、姉貴はこれ見よがしに外泊してるから家には僕だけ」
つまり2人きり?
新藤は何か仕掛けてくる気なんだろうか。
まさか、本気でヤろうとか言うつもりじゃ……。
いや、新藤ならありえる話だ。
まさか、帰ってすぐに尻の穴に入れろなんて迫られるとか……。
いやいやいやいや。
大切な童貞喪失を男で迎えていいのか?
こんなことなら、プロでもなんでも喪失しておけばよかった。
って、考えすぎだ。
きっと、またきっとからかわれているんだ。
かなり手が込んでいるけどさ……。
ぐるぐると考えていると、観覧車は地上に戻ってきてしまった。
「さ、行こうか」
手を引かれるまま観覧車を降りて、そのまま遊園地を後にする。
そして、そのまま新藤の家に向かうことになってしまった。
──どうなるんだ、俺は。
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