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4.引き込まれたテリトリー 2
「家にあるものだけで作ったからどうかわからないけど」
そう、新藤は言ったけど。目の前には、俺の想像を遥かに超えたオムライスが置いてあった。
半熟ふわふわの卵が乗っていて、周りにはデミグラスソースのようなものまでかかっていて……。
「すごっ……」
本当に家にあったものだけで作ったのか? 店のみたいなんだけど。
だって、うちにはデミグラスソースなんでないぞ。
つか、デミグラスソースって作れるものなのか⁉︎ どうやって作るんだよ。
「温かいうちに食べようよ」
「お、おう」
唖然としていた俺だけど、新藤に促されて一口食べてみる。
う、うまい……。
「すっげー、うまい!」
一口食べると止まらなくなって、俺がガツガツ食べているのを見て新藤は満足そうな顔をしていた。
すると、スッと新藤の手が俺の唇に触れる。
思わずビクンッとする体を見て新藤はクスッと笑った。
「ソースが付いてる」
そう言って、俺の口の端に付いたソースを指で取って舐める。
その時に新藤の赤い舌が見え、不覚にもドキッとしてしまったのが悔しくて俺は思いっきり眉をひそめ、オムライスをかきこむように食べた。
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